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初動対応マニュアルの作成 第3話「初動対応マニュアルの作成準備・災害リスク想定」

[fa icon="calendar"] 2018/09/03 12:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


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 シリーズ「初動対応マニュアル」3回目となる今回は、「災害リスク想定」の手順を紹介します。初動対応マニュアルに含まれる項目、「防災対策」「避難計画」などの策定を行う際には、その対象となる「災害」を想定する必要があるためです。

災害リスク想定について

 災害リスク想定の目的は、「初動対応マニュアル」を作成する対象の拠点周辺で、発生する可能性が高い自然災害を洗い出し、その災害が発生した際にどの程度の影響が生じるかを調べることです。この影響による被害を最小化するために防災対策を行い、防災で防げないほどの被害が想定される場合は避難の計画を立てることになります


調べるべき項目とポイント

  以下のような自然災害について、発生の可能性と、発生時の影響をまとめていきます。別の拠点で初動対応マニュアルを作成する場合などは、その都度、災害リスク想定を行います。

項目

ポイント

想定震度

大地震は日本中どこでも生じる恐れがあるため、この項目は原則「6強~7」を設定することになります。
※なお震度の上限は「7」であり、仮に震度「8910」に想定する様な揺れが生じた場合も全て「7」に集約され、青天井となるため、防災対策のための震度を設定する際には「6強」を設定するのが現実的です。

地震火災

建物単体の火災発生を考慮することは必須ですが、木造住宅が密集する地域など、大地震により地域全体で大規模な火災発生の可能性があるかの調査が必要です。該当する場合は広域避難の必要性が高くなります。

津波被害

大地震による津波被害の有無を調査します。津波の恐れがある地域の場合は、想定される高さ(避難場所を定める)、想定される時間(避難方法を定める)などを重点的に調べます。

高潮被害

台風などによりもたらされる、高潮による浸水害の有無を調査します。海岸近くでは津波や洪水と同じような被害を受ける地域があるため、浸水の深さなどを調べます。

浸水被害

台風や大雨による浸水被害が発生するかどうかを調べます。河川が近くにある場合は堤防決壊などによる「外水氾濫」、都市部においては排水が間に合わなくなる「内水氾濫」の恐れがあるため、川が近くにない場合でも浸水する可能性があります。

土砂災害

崖崩れ・地すべり・土石流などの土砂災害が発生しないかどうかを調査します。大地震・噴火・台風や大雨など、発生原因となる現象が多岐にわたるため注意が必要です。

火山の噴火

拠点周辺に火山がある場合は、噴火による影響を調査します。火口に近い場合は噴石や火山ガス、麓の場合も溶岩流や火砕流、離れていても土石流や降灰の影響が想定されます。特に降灰のよる影響は範囲が広いため、ハザードマップなどの確認が必要です。

原発事故

拠点周辺に原子力発電所がある場合は、大地震およびその他の原因でメルトダウン(放射能漏れ)事故が生じた場合の対応を検討する必要があります。防災対策で対応ができる災害ではないため、原則としては避難計画を立てることになります。

 

分析に必要な資料の入手方法 

 上記の項目を埋めていくためには、災害発生に関する資料を閲覧する必要があります。以下に、簡単に入手できる参考資料の収集方法を紹介します

 
地域防災計画

 地域防災計画は、地方自治体(都道府県および市区町村)が、各地域で想定される災害の内容と、その対処計画をまとめたものです。この計画書を参照することで、地域で想定されている自然災害リスク、被害の想定、自治体が計画している対処内容を把握することができます。


防災マップ

 防災マップには、地域内の「避難場所(指定緊急避難場所)・津波や火災からの避難先」、「避難所(指定避難所)・生活困難時の移動先」の情報や、各種防災施設が配置されています。Web検索で「○○市 防災マップ」などと検索するのが簡単です。ハザードマップと一体化しているような場合もあります


ハザードマップ

 ハザードマップには、地域内で発生する恐れがある災害の種類と、その影響が記されています。Web検索で「○○市 ハザードマップ」などと検索すると閲覧できる他、国土交通省のポータルサイトでまとめて閲覧することもできます。

「国土交通省ハザードマップポータルサイト」
https://disaportal.gsi.go.jp/

 なおハザードマップは、あくまでも「想定」が記されている地図ですので、例えば自社の隣のエリアが「通り一本」を挟んでギリギリ浸水地域になっている場合、これで安全と考えてしまうのは危険です。また地方の小規模河川や火山など、「災害が生じない訳ではないが、まだハザードマップが作られていない」地域もあるため、ハザードマップがないからといって安心しないようにしてください。


各種災害情報・立地情報の入手

 地域内で想定される大地震の情報は、地震ハザードステーションの「地震ハザードカルテ」を作成すると、簡単に閲覧ができます。

「地震ハザードステーション・地震ハザードカルテ」
http://www.j-shis.bosai.go.jp/labs/karte/

 また津波や浸水害の影響を調べる際に必要となる、拠点周辺の標高などは、「地理院地図」で住所検索をするとすぐに分かります。

「地理院地図」
https://maps.gsi.go.jp

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