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初動対応マニュアルの作成 第4話「緊急対応ー救助活動」

[fa icon="calendar"] 2018/10/15 12:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


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 シリーズ「初動対応マニュアル」4回目となる今回は、就業時間中に大地震などが生じた際、最初に実行する「救助活動」の準備について解説をします。従業員を守る防災対策を講じることは前提ですが、想定外の事態が発生した場合の備えとなります。

 就業時間中に大地震が発生した場合など、社内での人的被害が想定される場合は「救助活動」を実施します。転倒した什器や移動した機材などに潰されていないか、倉庫や会議室に閉じ込められていないか、エレベーター内に取り残されていないか、などの確認を行い、必要に応じて道具を用いた救助活動を実行します。

「救助活動」が必要になる状況と、マニュアルの目的

 救助活動が必要になる状況は、就業時間中に大地震などの突発的な大規模災害が発生し、社内で人的被害が発生した場合です。オフィスのキャビネットや大型の金庫、キャスター付きの複合機、工場の設備、店舗の什器など、重量物が転倒したり移動したりして挟まれてケガをしたり、身動きが取れなくなった従業員を助けるための活動が必要になります。

 また大地震の揺れで建物は無事だったものの、オフィスの内装や内部のドアに被害が生じて、会議室や倉庫などの小部屋に閉じ込められてしまったり、屋外へ通じるドアが変形して脱出できなくなったりと、脱出路を確保するために救助道具が必要になる場合もあり得ます。火災などが発生した場合は一分一秒を争うため、なおさら重要な活動となります。

 初動対応マニュアルに「救助活動」ページを作成するのは、これらの被害が生じた場合に、最短時間で有効な救助活動を行えるようにするためです。入社間もない担当者が、このページを開くだけで救助活動を行える様にしておくことが目的となります。救助活動のページには、救助に必要な道具に関する説明と、救助対象者を探すための点検リストを入れて作成をします。以下に項目の詳細を記します


救助活動に必要な「救助道具」について

 
救助活動に必要な道具は、いわゆる「救助セット」のようなものを購入してもよいですし、道具をバラで購入して保管をしても構いません。拠点の広さや従業員の数、危険を生じさせそうな設備の数量などを鑑みて定めます。社内だけでなく周辺近所の救助活動にも使用できるため、CSRの観点でも有効な備えと言えます。

 以下の道具を準備したら、建物の入口付近やオフィスのエントランスなど、転倒物などが少なく、どこからでもアクセスがしやすい場所に保管をしましょう。受付などがある場合はその周辺、ソファーの下などに保管をするのもよいでしょう。救助道具自体を取り出せなくなるということがないよう、注意してください。

 マニュアルのページには、準備した道具の内容・数量などを記したリスト、外観の写真、保管している場所の情報(必要であればフロア図への記載なども)を、まとめて記載しておきます。マニュアルさえ開けば、社内の事情に明るくない方でも、救助道具を持ってくることができるようにしておいてください。
 ●バール

  • 重量物を動かす際に「テコ」として使用するため、ある程度の長さがあるものが望ましい。1200mm以上のものが望ましいが、屋内で使用する場合は取り回しや保管が難しくなるため、この場合は600900mmの物でも構わない。
 ●ジャッキ
  • 重量物を持ち上げて隙間をつくる際に使用。社用車などがある場合、自動車に搭載されているジャッキを使うこともできるため、この場合は必須ではない。道具により使い方が異なるため、必ず事前に使用方法を確認すること。
 ●破壊道具(アックス・ハンマー)
  • ゆがんだドアや移動できない重量物を破壊する際に使用。バールでも代用できるため、バールを複数本用意してもよい。セットなどで購入する場合はアックスやハンマーが入っているのでそのまま使用可能。
 ●軍手
  • 作業時の手指の保護に必須、セットに含まれないこともあるため、その場合は別途購入して数組を収納箱などの入れておくとよい。ゴムなどの滑り止めが付いている製品が望ましい。防寒具にもなるため、従業員に事前配布してもよい。

 ●LEDヘッドライト

  • 夜間に大地震などが発生して停電した場合は、明かりがなければ何も
    作業ができません。両手を開けるためにヘッドライトを準備。数個を救助用品と一緒に準備しておくか、従業員に事前配布してもよい


「点検リスト・マップ」について

 道具を準備したら、救助者の見落としを防ぐための準備として、「点検リスト・フロア図」を準備します。これは社内の危険箇所をあらかじめリストにしたり、フロア図に場所を書き込んだりして、大地震などが発生した際、素早く危険箇所をチェックするために用いるものです。

 就業時間中の発災の場合は、安否確認の一環として社内点呼を実施する必要がありますが、この点検リスト・フロア図を用いて、どこかに閉じ込められたり、ケガをしている従業員が残っていたりしないか、あわせて確認すると効率的です。なおこの点検リストは定期的に追加・削除の見直しをして、最新状態を保つようにします。

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