Bitis ブログ

初動対応マニュアルの作成 第6話「避難計画」

[fa icon="calendar"] 2018/12/20 12:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


shutterstock_399283408-1 

 

 シリーズ「初動対応マニュアル」6回目となる今回は、大規模な火災・津波・土砂災害など、「その場に留まると生命に危険が生じる事態」に対する、避難計画の策定と準備について解説します。災害発生時に避難が必要かどうかは、発生する災害の種類によって変わります。例えば大地震の揺れだけであれば、建物が無事であれば屋外避難は不要ですが、建物で火災が発生したり、大津波に巻き込まれる地域であったりする場合は、「死なないための避難」を実行する必要があります

 拠点周辺で生じる可能性が高い災害については、ブログ記事『初動対応マニュアルの作成 第3話 初動対応マニュアルの作成準備・災害リスク想定』(https://blog.bitis.co.jp/bcp-blog11)で紹介をしておりますので、あわせてご覧ください。

  

避難が必要となる災害について

 都市部で大地震が発生した際、建物が無事であり火災が発生していなければ、無理に屋外避難をしたり、鉄道が止まっている中を徒歩帰宅したりすることは、かえって生命に危険をもたらす可能性があります。事業所の所在地が「地区内残留地区」に指定されている場合は二次災害の危険が小さい地域であるため、なおさら建物内にとどまることが安全と言えます。この場合は3日程度社内にとどまることができるような防災備蓄を行っておくことが重要です。

 一方、「その場にとどまると生命に危険が生じる」災害が発生する地域の場合は、素早く安全な場所へ避難をするための計画が必要です。事業所周辺の「災害リスク想定」の結果、以下のような被害が想定されている地域である場合は、何かしらの避難計画が必要になります。(※火災はどこでも生じる可能性があるため、避難不要な地域というのは実際には存在しません。)


●建物火災・大規模火災
建物内部で火災が発生した場合、まずは初期消火に努めることが重要です。しかし火の手が大きく自力消火が不可能となった場合は、素早く避難をしなければなりません。またまた大地震やその他の要因で、大規模な都市火災が発生し、建物に火の手が迫っている場合も避難が必要となります
 
 
●津波
地震による大津波により、建物が完全に水没するような被害が想定されている地域に事業所がある場合は、高台や、より高い建物への避難計画が必要になります。また、建物が頑丈で高層階は津波にのまれない想定である場合は、逆にビル自体が津波からの避難先になりますので、確認が必要です。

●浸水害
台風や集中豪雨による大雨で浸水害が発生する地域も、建物が完全に水没するような被害想定エリアに事業所がある場合は避難計画が必要です。また津波と異なり、海から離れた(標高の高い)内陸部でも浸水害は発生するため、ハザードマップなどの確認が不可欠となります

 

●土砂災害
事業所が山間部や谷あい、またガケの近くに立地する場合は、大地震や大雨による土砂災害に対する避難計画が必要です。土砂災害は物理的な破壊力が高いため、発生を察知してから避難をするのでは間に合わない可能性がありますので、警報や避難情報を参考にした事前避難の計画が必要です


避難先について

 いわゆる「避難先」には、性質の異なる2つの場所があります。「その場にとどまると生命に危険が生じる災害」から命を守るために逃げ込む場所が「避難場所(指定緊急避難場所)」で、「生活ができなくなった」人が身を寄せる場所が「避難所(指定避難所)」です。初動対応マニュアルに記載をする避難先は、前者の「避難場所」になります。
 避難場所は、災害の種類に応じて場所がかわります。大地震時の大規模火災から避難をする場合は、河川敷や広い運動場などが広域避難場所として指定されますし、津波や浸水害から避難をする場合はできるだけ高い場所へ避難をします。土砂災害から避難をする場合は、土石流・地すべり・崖崩れの影響がないエリアにある避難場所へ避難しなければ意味がありません。

 避難場所を確認するためには、「リスク想定」を行う際に使用したハザードマップや防災地図を閲覧します。ハザードマップには災害の種類に応じた避難場所が記されていますので、「避難場所=最寄りの学校」などと考えずに、想定される災害の種類ごとに、定められた場所を確認しておくことが必要です。

避難時の行動について

 避難時の安全を確保するためには、最低現の道具が必要になります。雨天時には雨具がなければ冬季は凍死の恐れがありますし、夜間行動をする場合は明かりがなければ身動きが取れません。またこれらの避難道具は、徒歩帰宅をする場合や、逆に社内にとどまる場合にも利用することができるため、従業員に個別配布できるような計画を立ててください。以下に、いわゆる「非常持ち出し袋」に入れたいグッズを紹介します。

 

必須な道具

リュック

事前に道具を詰めて、事前配布するとよい。

雨具(レインウェア)

両手を開けるため傘は避ける。防寒具代わりにもなるので、暖房が切れた際の屋内待機時も役立つ。

LEDライト

両手を開けるため、できればヘッドライトタイプが望ましい。避難・社内宿泊共に活用できる。

手袋(軍手)

ガレキ・ガラス・障害物を除去するために必要。雨具同様冬場の防寒具になるため屋内でも役立つ。

周辺の地図・ハザードマップ

避難場所・避難ルートを記した地図を配布する。

できれば準備する道具

ヘルメット

余震による落下物や強風による飛来物などからの防御として用いる。あればよいが必須ではない。

マスク

大地震直後などは粉じん被害が大きくなるため、あれば役立つ。冬場は防寒用にも使える。

携帯トイレ(数回分)

水・食べ物が半日無くとも死なないが、トイレ需要は災害直後から生じるため準備する。

簡易食料(1食分程度)

いわゆる備蓄食料は倉庫などで保管。避難時・災害直後の待機時に必要な量のみ事前配布するとよい。

飲料水(500ml程度)

飲料水はかさばるため、避難を優先する場合は量を増やしすぎないようにする。

あれば役に立つ道具

ウェットティッシュ

衛生管理や夏場の食中毒防止に役立つ。小分けタイプのものを事前配布しておくと管理が楽になる。

アルミブランケット

冬場の防寒用に用いる。レインウェアがあれば省略してもよいが、あれば役に立つ。

応急手当セット

絆創膏や傷パッドなどの簡易セットを個別配布するとよい。その他のグッズはフロア内で管理する。

小型ラジオ

停電が長期化した場合はスマートフォンが使えなくなるためラジオが役立つ。個別配布できればよいがコストがかかるためフロア備蓄でもよい。

 

重要物の持出について

 建物で火災が発生した際の避難時、あるいは津波や土砂災害で建物が完全に破壊されるような想定区域の避難時などは、事業継続に必要な重要物を持ち出す必要があります。しかし避難時には生命を守ることが第一ですので、素早い行動が必要です。そのため、事前に持ち出すべき物品をリストなどにまとめておくことで、素早い避難を開始することができるよう、マニュアルに内容をまとめておきます。以下に、中小企業庁で公開されている重要書類の例を記します。

書類

重要書類などの例

契約書

賃貸借契約書、売買契約書、運送契約書、物品納品契約書、ローン契約書、借地契約書、金銭消費貸借契約書、リース契約書等

預貯金関係

預金証書・貯金通帳、印鑑(実印)、クレジットカード、保険証券

有価証券

手形、小切手、株券・有価証券

その他

実印、印鑑、不動産登記済権利証、領収書、株主名簿、健康保険被保険者証、国民年金証、運転免許等

BCP書類

作成したBCPドキュメント

 避難時、これらの重要物品を全て持ち出せるとは限りませんので、優先順位を付けておく必要があります。また書類・証書・カード類などは、コピーをとって他拠点で保管をしたり、スキャンをしてデータを保管したりといった対応をとることで、再発行などが容易になります。

 BCPにおいては、これら重要物品・重要情報が失われた場合の対応も検討する必要がありますが、「紙は燃える」のが原則です。できるだけデジタル化して多重保存することが重要です。社内のPCやサーバーだけで保存をすると、原本と一緒に失われる可能性が高いため、他拠点やクラウドサーバーへ分散保存できるように計画します。

 =====================================================================

 災害時に役立つ「持っていればよかった」様々なアイテムをご紹介!

ビーティスの「シリーズ・EDCEvery Day Carry)防災グッズ」メルマガコラムの
登録はコチラから。

 =====================================================================

 

Topics: BCP情報

あわせて読みたい

高荷 智也

Written by 高荷 智也


新規CTA

最新記事