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初動対応マニュアルの作成 第7話「緊急対応ー発災時防災・二次災害防止」

[fa icon="calendar"] 2019/01/17 12:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


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  シリーズ「初動対応マニュアル」7回目となる今回は、「発災時防災・二次災害防止」について解説します。例えば浸水害が発生した際の止水対応、建物内部で火災が発生した際の初期消火、また有害物質を扱っている工場や店舗が大地震などの直撃を受けた際の飛散防止対応などが挙げられます。

 土砂災害や大津波など「死なないための避難」が必要な災害に対しては逃げることしかできませんが、自社の活動で被害をなくすことができる災害や、自社そのものが近隣に対する災害原因になる場合には、被害を最小化するための事前準備が不可欠となります。

  

水害への対応

 自社の拠点が津波や洪水の浸水想定地域にある場合は、資機材の事前準備と、発災時の行動マニュアルを作成しておく必要があります。浸水の深さが10cmであったとしても地下室などがあれば被害は甚大となりますし、1mを超える浸水が発生した場合も準備が適切であれば被害を無効化することが可能です。被害の想定と、これに対応した資機材の準備が必要です。

 浸水対策の方法は大きく2つに分けられます。ひとつは水を建物へ侵入させないための止水。もうひとつは重要な資機材をそもそも浸水しない場所へ移動させてしまう対応です。またいずれの場合も、災害が生じる前に行っておくべき対応(建物への止水設備導入や、地下にある設備の上層階移転など)と、災害が発生した後の対応(土のうの積み上げや、重要書類の移動など)に細分されます。

 水の浸入を防ぐためには、開口部に止水シャッターなどの設備をあらかじめ準備しておく方法。止水板や止水シートを展開させる方法。土のうや水のうを積み上げる方法などが考えられます。資機材の種類ごとに、対応できる水深などに差がありますので、開口部の形状や想定される浸水のレベルに応じて適切な資機材を準備してください。初動対応マニュアルには、こうした資機材の保管場所、展開の手順などをまとめておきます。

 重要物を移動させる対応をとる場合は、移動させる物品と優先順位、移動先と移動方法、移動担当者などを事前に定めておき、これをリストやマニュアルの形にまとめておきます。浸水の状況により対応可能な時間が変わりますので、優先順位を付けておくことが重要です。また大型の什器や設備など急な移動が難しいものに関しては、そもそも浸水しない場所へ設置しておく等の対応が必要となります

火災への対応

 自社のオフィス・店舗・工場など建物の内部から火災が発生した場合、初動対応として行うべきことは、119番通報と初期消火の対応です。特に火災の原因が大地震である場合、消防車が来られない可能性が高いため、二次被害を防止するためには初期消火を成功させることが不可欠となります。もちろん初期消火に失敗した場合は、生命を守るための避難が必須となります。

 避難場所を確認するためには、「リスク想定」を行う際に使用したハザードマップや防災地図を閲覧します。ハザードマップには災害の種類に応じた避難場所が記されていますので、「避難場所=最寄りの学校」などと考えずに、想定される災害の種類ごとに、定められた場所を確認しておくことが必要です。

■火災発生時にとるべき一般的な手順

 以下のような手順と、必要な資機材の設置場所(フロア図・写真など)を初動対応マニュアルへまとめておき、入社1日目の担当社でも初期対応が行えるような準備をしておく必要があります。もちろんマニュアルへ記載するだけで行動することは難しいため、日頃の消火訓練とセットで実施することが重要です。

  1. 火災の通知
     ●
    「火事だ!」と叫んで周囲に火災の発生を知らせる。火災の初期対応は複数名で
      行うことが望ましいため、できるだけ人を集めるようにする。
     ●「火災報知器(非常ベル)」がある場合はボタンを押して、火災発生を知らせる。
     ●「119番(消防)」へ通報する。

  2. 初期消火
     ●
    建物内の「消火用散水栓」や「消火器」を使って初期消火を開始する。
     ●火元に対して背中側に通路が来るように立ち回り、初期消火に失敗した場合の
        脱出ルートを確保しながら消火活動を行う。

  3. 煙の拡散防止
     ●
    非常用のシャッターなどを下ろして煙の拡散を遅らせる。
     ●排煙窓などが設置されている場合は、排煙操作ボタンや排煙ハンドルを操作して
            窓を開放する。

  4. 避難
         ●
    炎が背丈を超えて天井に達した場合、自力消火は難しくなる。このような場合は
        生命の確保を第一として、避難を開始する。
     ●初期から火の手が強い場合は、重要物の持ちだし準備なども並行して行い、
         避難とあわせて行動できるようにする。

有害物質などの拡販防止対応 
  自社の店舗や工場で、環境中へ拡散してはならない原材料、薬液、爆発物、あるいは放射性物質などを扱っている場合は、大地震をはじめとする自然災害の直撃を受けた際に、周囲へ拡散させないための対応が不可欠となります。この様な場合、日頃から拡散防止対策の計画や非常時の対応訓練などを行っていると思いますが、その手順などを初動対応マニュアルからも参照できるようにしておく必要があります。

 拡散が許されない物質を使用・保管している場合、想定外の大規模災害に備えた二重三重のバックアップ計画が必要になります。拡散防止処置を行う担当者を複数名設定し、拡散防止処置の対応訓練だけでなく、公共交通機関が停止した際の徒歩出社訓練などが必要になる場合もあります。また設定する担当者も、例えば自宅の方向が異なる者を複数名指定するといった工夫が求められます。

 災害の規模が大きい場合、全ての担当者と連絡が取れなくなったり、公共交通機関の停止により出社まで著しく時間がかかったりする可能性もあります。このような場合は、出社することができた人員で非常時対応を行う必要があります。初動対応マニュアルに最悪の場合の緊急対応手順をまとめておき、この訓練・マニュアルの見直しも実施しておくとよいでしょう。 

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