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新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミック状況と終息の条件

[fa icon="calendar"] 2020/04/01 9:04:35 / by 高荷 智也

高荷 智也


パンデミックの状況と条件終息 

 全世界で感染拡大に歯止めがかからない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、日本でも2020328日(土)~29日(日)の週末に、首都圏全域で事実所の外出自粛が求められるなど、経営を取り巻く環境悪化が続いています。この状況はいつまで続くのでしょうか。

新型コロナウィルスパンデミックの現在の状況

流行パターンの「影響度×致死率」分類図

 さて、2020年2月20日の当ブログ記事『新型コロナウイルス感染症について(情報収集編)』で、感染症の状況を確認する方法を紹介しました。感染症の影響度を縦軸に、流行度合いを横軸にプロットして、4つのケースに分類しての解説です。

 

致死率・影響度 

 新型コロナウイルスの流行が速やかに終息すれば「Cゾーン」…中国以外の影響は最小に。流行が拡大しても致死率が低くなれば「Bゾーン」…2009年の新型インフルエンザパンデミックのような「罹っても死なないので誰も気にしなくなる」状態に。

そして流行拡大が止まらず、かつ致死率も低下しなければ「Aゾーン」…最悪のパンデミックを覚悟した厳戒態勢に、という分類をしておりました。現在のパンデミックは、この「Aゾーン」に近づきつつある、よくない状況になっております。

 

この2か月で状況は悪化している(2月10日→3月29日)

 上記の解説をした2月10日時点では、感染者は世界で40,548名、死亡者は910名、「死亡者÷感染者」で表す致死率は2.2%(※1)でした。この時点での感染者と死者は、ほとんどが中国におけるものです。

一方50日が経過した現在(執筆時:329日)、感染者645,837名、死者29,200名、致死率4.52%とかなり悪化しています。(※1)さらに、感染者と死者の多くは中国以外の全世界へと拡大しています。

1)日本経済新聞:コロナウイルス感染マップ
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-world-map/

 なお致死率が上昇しているのは、ウイルスの特性が変異している可能性と、流行が拡大している国において正確な感染者数が図りづらくなり、「致死率=死亡者÷感染者」の母数が抑えられている可能性の2つが想定されます。

流行が始まった中国では新規の感染者・死者数が減少し、封じ込めに成功との報道発表がなされていますが、その他の各国においては、現在あるいはこれから感染のピークを迎える状況にあり、流行が終息する様子が見られません。

 

感染症によるパンデミックが終息する条件

 今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がいつ終息するのか、平時の企業活動をいつ頃に取り戻すことができるのか、それは誰にも分かりません。

一方、初期の封じ込めに失敗した感染症によるパンデミックが、どうすれば終息するのか、そのシナリオについてはいくつかのパターンが存在します。

 

1)致死率が低く「誰も気にしなくなる」パターン

 感染力の強い感染症が世界中で流行しパンデミック状態となりますが、重症化率・致死率が低く、感染者は増えるが死者はほとんど生じない、あるいは許容される人数に留まるパターンです。

 2009年にパンデミックを引き起こした新型インフルエンザがこのパターンで、国内でも1,000万人以上の感染者を生じさせましたが、致死率が「普通のインフルエンザ」より低い値となり、最終的な死者も200名程度となったため、社会的な混乱は早期に終息しました。

前述の分類表で言えば「Bゾーン」に当てはまる状態で、一時的な混乱は引き起こされますが、感染しても問題ないことが明らかになるにつれ、すぐに落ち着いてきます。

 しかし現状の新型コロナウイルスは致死率が高く、すでに世界で数万人の死亡者(記事執筆時・最終的には桁がいくつか跳ね上がる恐れも)が発生していますので、もはやこのパターンは取り得ません。

 

2)有効なワクチンが開発され、多くの人が免疫を獲得して終息する

 流行中の感染症(ウイルス)に有効な抗体を、体内に作ることができるワクチンが開発され、これを多くの人が接種することができれば、流行の拡大を抑えることができます。

 コロナウイルス流行以前に、次のパンデミックの本命のひとつとみなされていた新型インフルエンザでは、流行開始と共にワクチンの研究・製造を開始し、外出自粛などで時間稼ぎを行い、国民にパンデミックワクチンを接種して流行を終息させる計画が立てられていました。

 しかし、少なくともCOVID-19に対して有効なワクチンの開発は、現在の所完了しておらず、具体的な目処もたっていません。そのため、ワクチン接種による流行終息を期待することは、現時点では難しい状況と言えます

 

3)多くの人が感染症に感染し、結果として抗体を確保すること

 現状のコロナウイルス流行の終着点として、目下向かっているのがこのパターンです。有効なワクチン開発が間に合わない場合は、多くの重症者・死亡者を出しながら感染者が増加し、生きのびて回復した人が抗体を獲得することで、流行が終息することになります。

 またCOVID-19は、高齢者や持病を持っている方の致死率は高く、若年層の致死率は低いという特徴があります。特に若年層が感染した場合、無症状で完治するケースも多くあり、気づかない間に感染・回復・抗体確保が行われていることも想定されます。

 この方法となる場合、医療機関をどこまでパンクさせずに維持することができるかが、最終的な死者数を減らすための対策となります。そのため現在世界各国が都市封鎖や外出制限を行い、感染者の増加ペースをなんとか低くしようとしているわけです。



コロナウイルスによるパンデミックは長期戦を覚悟する

 いずれのパターンで終息を迎えるにせよ、それがいつ頃になるかはまだ分かりません。感染者の増加ペースを抑えれば死亡者を減らすことができますが、抗体を持つ人の増加数も抑えられるため、いつまでも流行がくすぶり続け、中途半端な状況が続くということも考えられます。

都市封鎖・外出制限をすれば流行の拡大が抑えられますが、解除した瞬間に感染爆発が起こるとなれば、有効なワクチンが開発されるまでこの状況をつづけるしかなくなるためです。

コラム後編では、このような「都市封鎖・外出制限」が日本で行われた場合の想定と、今からでも検討しておきたい準備について紹介します。
「日本で外出制限が行われた場合の状況と企業の準備」

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