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消毒薬の希釈に使える「ペットボトルのフタ」の容量をご存じですか?

[fa icon="calendar"] 2020/04/22 10:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


消毒 

 今回は、ちまたに溢れる防災トリビアや防災グッズの噂、それホント?という様々な情報を実験・自腹で検証した「ペットボトルのフタ」についてご紹介します。

……ペットボトルのフタとは珍妙な、さては頭がおかしくなったなと思われるかもしれませんが、マジメです。さて、パンデミックの影響で市中からマスクや消毒剤が消滅して久しい昨今、いまだに商品が棚に戻る気配はありません。

 


  マスクについては「1世帯2枚」の配付がされることになっていますが、消毒薬については自己調達が原則。消毒用アルコールなどは全く見かけませんが、「次亜塩素酸ナトリウム」であれば、キッチンコーナーなどで入手することができます。商品名で言うと、ハイターやブリーチなどです。

 この「次亜塩素酸ナトリウム」、強力な殺菌・漂白作用をもっていますので、普段は食器のつけ置き消毒や、汚れた衣類の漂白に用います。皮膚を溶かすほどに強力なため、原液のままでは消毒に使うことはできませんが、水で薄めることで「モノ」の消毒に用いることができます(薄めても手指消毒には使えません、ただれます)

ハイターやブリーチなどの次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、おおよそ5%50,000ppm)です。コロナウイルスの消毒に用いる際の目安濃度は0.05%(500ppm)ですので、100倍に希釈する必要があります。手元に500mlのペットボトルがあれば、一杯まで水を入れて、原液を5ml追加すればOKということになります。

 このとき、原液の量を計る方法としてよく紹介されているのが「ペットボトルのフタ」を用いる方法です(ここから本題)。ペットボトルのフタは共通規格であるため、どれも容量が同じであり、計量カップの代わりになるという理屈によります。

 ところが、「じゃあどのくらいの容量なのか?」とスマホなどで検索をすると、WEBサイトにより7.5mlだったり、5mlだったり、いまいちバラバラな表記となっています。ということで、実際に調べてみました。


 今回用意したのはこちら、「0.1グラム単位で計量できるスケール」と、4種類のペットボトルのフタです。実際に液体を入れてどのくらいの容量なのかを計量してみました。(スケールはamazon2,000円程度でした、また測定機が増えてしまった…。)

ペットボトルの蓋を消毒液の希釈にする

まず行ったのは、ペットボトルのフタを手に持ち、そこに液体を注ぎ、ギリギリこぼれない量の計測です。最初は緑のフタ、350mlのお茶のペットボトルのフタは「6.9ml」でした。

ペットボトルの蓋を消毒液の希釈に使う


次に黄色いフタ、500mlの特保のジュースのペットボトルのフタも「6.9ml」でした。

ペットボトルの蓋を消毒液の希釈に使ってみた


さらに白いフタ、2Lのペットボトル水のフタは「7.2ml」でした。

 

 

ペットボトルの蓋を消毒液の希釈に使ってみた


最後に青いフタ、500mlのエビアンのフタは「7.1ml」でした。

ペットボトルの蓋を消毒液の希釈に使ってみた

 

エビアン以外の3つのフタは国内規格ですので、ボトルの大きさに関わりなく同じ大きさであり、どのボトルにも付けることができます。一方エビアンは海外ボトルであるため、日本のペットボトルを閉めることはできません。しかし容量はおおむね同じという結果でした。

この、容量ぎりぎりまで液体を注ぐ作業、表面張力の限界に挑み、膨らみを感じるほどに注げば8ml近くまで入れることができます。しかし動かした瞬間にこぼれるため、実用的ではありません。特に、次亜塩素酸ナトリウムは強烈なアルカリ性で皮膚を溶かすため、こぼれるほど注ぐことはNGです。実用的な最大容量としては、こぼさないギリギリまで注いで「7ml」という辺りでしょうか。

 

さて、もう1パターンの計量もしてみました。今度は、もう少し安全係数をとりまして、フタの内側にあるスクリュー線の一番上辺りまで注いだ場合の容量を量ました。この写真のようなイメージです。この量であれば、次亜塩素酸ナトリウムなども安全にペットボトルなどへ注ぐことができます。

ペットボトルの蓋を消毒液の希釈に使ってみた


まずは緑のお茶のフタ、「5.0ml」でした。

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次に黄色のジュースのフタ、こちらは「5.3ml」でした。

ペットボトルの蓋を消毒液の希釈に使ってみた


白いペットボトル水のフタは「4.8ml」でした。

ペットボトルの蓋を消毒液の希釈に使ってみた


青いエビアンのフタは「5.2ml」でした。

ペットボトルの蓋を消毒液の希釈に使ってみた

 スクリュー線の形状はフタの種類によって異なりますが、線の最上部まで液体を注ぐと、おおよそ「5ml」になるようです。次亜塩素酸ナトリウムの原液をこの量フタに注ぎ、これを500mlのペットボトルに水と一緒に入れれば、新型コロナウイルスの「モノ」の消毒に使える0.05%・500ppm」の希釈溶液を作ることができます。

もちろんペットボトルのフタの計量は、消毒薬づくりだけでなく、料理などにも応用できます。小さじが15CCですから、8分目ペットボトルのフタで3杯分、限界ペットボトルのフタで2杯分となります。ウイスキーのシングルなら1オンス(約30ml)、炭酸水のペットボトルのフタギリギリまで注いで4杯分となります(こちらの方が実用的かもしれませんね…)。


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