Bitis ブログ

日本で外出制限が行われた場合の状況と企業の準備

[fa icon="calendar"] 2020/03/30 14:30:59 / by 高荷 智也

高荷 智也


企業のリモートワーク対策 

 全世界で感染拡大に歯止めがかからない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、日常生活だけでなく企業の経営についても極めて厳しい状況が続いています。海外で相次ぐ都市封鎖・外出制限が日本で行われた場合どうなるのか、今から準備できることはあるのかを解説します。

都市封鎖・外出制限が行われとどうなるのか

 日本で都市封鎖・外出制限が実施された場合、ビジネスにはどのような影響が生じるのでしょうか。そこで、情報公開されている国の中でいち早く外出制限を行っているイタリア(※1)の状況から、どのような事態が生じるのかを確認します。

※1)『イタリア政府COVID-19対策サイト:よくある質問と回答』より(3/25時点)
http://www.governo.it/it/faq-iorestoacasa

 

生活必需品を扱う店舗以外の対面営業が停止

 食料品や日用品などの生活必需品を扱う店舗営業は維持されていますが、それ以外の小売店の営業は禁止されています。具体的には、政府(大統領令)から販売を継続してよい商品がリスト化されており、このリストに記載されていない商品の販売が禁止されるという手法がとられています。

スーパーやショッピングセンターなど、必需品とそれ以外の商品を扱う店舗の場合は、販売が許可されていない商品を扱う店舗のみ営業停止にしたり、そのコーナーに立ち入れないようにしたり、あるいは商品を売り場から撤去したりという厳しい措置がなされています。

 ただし、全てのオンライン販売は許可されており、流通網も維持されていますので、ネットショップやテレビショッピングなどを通じて買い物を行うことはできるようです。

 

飲食店やサービス業の店舗も営業停止に

 飲食店についても、一部の例外(空港内や病院内の店舗など)を除き、店内での飲食およびテイクアウトを含めて営業が停止されています。ただし小売同様、宅配営業は許可されていますので、デリバリーのみで営業が行われている状態です。

 またその他、対面によるサービス業の店舗も、不要不急のものを除き営業が禁止されています。各種の娯楽施設、美容院や理髪店、自動車のディーラーや不動産業など、今日行かなくても支障は無い、という店舗営業は軒並み禁止となっています。

 

市町村を越えた外出に制限

 生活必需品の買い物についても、原則として居住地がある市町村以外への外出は禁止されています。外出が許可されるのは市町村内にある最寄りの店舗での買い物、社会維持に不可欠な仕事のための通勤、健康維持のための近所散歩などに限られます。

 旅行や自分の別荘などへ移動する行為も禁止されており、総じて、対人サービスを提供しているビジネスは、宅配・訪問などの手段がない限り機能を停止しているような状況と言えます。

 なお上記の各種禁止令は、個人および企業に対する刑事罰がセットになっており、違反者は法律に基づいて処罰を受ける措置となっています。

 

日本で都市封鎖・外出制限は行われるのか

 海外の状況を見ると、流行の初期段階で中国・武漢が封鎖された他、感染者・死亡者の増加に伴い、前述のイタリアや死者が急増しているスペイン、またイギリスなどでも外出制限が行われています。さらに感染者数が中国を越えて世界一となっている米国でも、州単位での外出制限などが実施されています。

 

諸外国の状況について(3月30日現在)

中国・武漢市123日に封鎖を開始、その後(報道発表では)感染者数が減少し、48日に解除の予定。

イタリア38日から43日まで罰則のある外出禁止措置を実施中、終了期間は状況に応じて見直し

スペイン314日から外出制限をしていたが、死亡者の増加に伴い330日から49日まで、社会機能を維持する業務以外については通勤も認めない方針に強化

イギリス323にちから3週間、外出制限を実施中、終了期間は経過後に再度検討して判断

米国・カリフォルニア州…3月29日から無期限で外出自粛を実施中

 

日本の状況について

 日本ではどのような状態になるでしょうか。現状は、まず大阪で32022日の三連休中の外出自粛が求められた他、翌32829日の週末に、首都圏で事実上の外出制限が呼びかけられている程度となっています。

 今後より厳しい制限が行われるかどうかはまだ分かりませんが、企業経営のリスクを想定する上では、諸外国が行っているようなより厳しい外出制限・店舗営業禁止などの処置が取られることを前提にすべきと言えます。

また、従来計画されていた新型インフルエンザパンデミックの政府行動計画でも、感染による経済活動に制限が生じるピーク期間を2ヶ月と見込んでおりました。今後日本国内でも外出自粛が強化される場合は、2ヶ月程度この期間が続く可能性は十分にあり得ます。

 

都市封鎖・外出制限に対して企業が行えること

 このような状況に備えて、いまの段階で実施できる対策はあるのでしょうか。基本的にはさらなるリモートワークによる在宅勤務の徹底化、非対面営業への切り替えなどを実施するしかありません。

 

リモートワークによる在宅勤務の強化

 サービス業・建築業・製造業・ライフライン業など、出勤しなければなにもできないという企業で、かつ社会の維持や生活に必須な領域の企業については、営業継続が許可されるケースが多くあります。

 一方これ以外の業種については、リモートワーク環境の有無にかかわらず、通勤そのものが禁止される可能性があります。企業側の都合について個別対応される可能性は低いため、いまからでも「出勤が禁止された場合の対応」を検討しておく必要があります。

 従業員が自宅でPCを使えないという場合は、ではスマホや携帯電話のメールと電話だけで、どのように業務を継続させるのか。そのためにはどのような資料や道具を準備しておけばよいのか、という視点での対策となります。

 

重要だが緊急ではない業務の実施

 補足的には、普段は優先度の高い業務に追われて行うことができていない「重要だが緊急ではない仕事」を徹底的に行う期間にする、という割り切り方もあります。

  • 社内向け・顧客向けのマニュアル類の更新
  • 各種営業ツールや販促媒体の見直しや更新
  • 自社のWEBサイトの見直しや更新

など、コロナウイルスの流行が終息した後の営業時に必要となる、各種のツールを今のうちに整備しておくという考え方です。売上にはつながらない作業ですので、これだけを行い続けることはできませんが、自宅待機しか命じることができないのであれば、こうした作業を少しでも行うということも考え方になります。

 

さらなる非対面営業への切り替え

 小売業であれば店舗内への入店制限営業の準備や、ネットショップなどへの対応検討。飲食店であれば宅配やテイクアウトのみの営業の準備。サービス業の場合は訪問(ただし非対面)によるサービス提供の検討など、店舗営業を禁止された場合の対応について準備することが重要です。

都市封鎖・外出制限がどの程度の期間継続するかが分からない以上、これらイレギュラーのサービスを、ある程度の期間は通常サービスとして提供することも覚悟して、各種の検討・準備が必要な事態になりつつあります。

 

==============================================================

★新型コロナウィルス感染症に関するCM動画(デジタルサイネージ用コンテンツ)を配信しております。サイネージのコンテンツの1つとしてお使いいただきたく、こちらのブログもご参照ください。

「新型コロナウィルス感染症に関するCM動画」

 
==============================================================

企業におけるBCP対策の一環として「初動対応マニュアル」の作成は必要となってきます。
初動対応マニュアルの必要性と作成にあたる構成要素と作成ポイントをまとめておりますので、

ぜひご活用ください。

初動対応マニュアル「構成要素と作成ポイント」

==============================================================

 

 

Topics: BCP情報

あわせて読みたい

高荷 智也

Written by 高荷 智也