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パンデミック複合災害で想定される困りごとと事前対策:後編

[fa icon="calendar"] 2020/05/20 10:13:01 / by 高荷 智也

高荷 智也


災害対策準備 

 「パンデミック複合災害で想定される困りごとと事前対策:前編」の続きとして、本記事では、「パンデミック時の複合自然災害:事前対策編」をご紹介いたします。しかし行うべき対策は平常時と大きく代わるものではありません。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第二波・第三波への備え、あるいは次のパンデミックに対する備えだけでなく、日頃からの防災対策の見直しとしてもぜひご確認ください。

 

■負傷しないための対策

 感染症パンデミック時には、救助活動に避けるリソースが普段より減少する恐れがあり、また医療機関のリソースも不足している可能性があります。そのため、大地震などでまず自分と家族が要救助者にならないこと、また負傷しないことが重要になります。

まずは基本ですが、大地震対策の徹底です。自宅や職場の建物を倒壊させないようにすること、室内の安全を確保するために、家具や什器の固定、荷物の落下対策、ガラスの飛散防止などをきちんと行い、身動きができない状態になったり、負傷したりすることを避けることが大切です。

 しかしどれだけ対策を講じても、被害を完全にゼロとすることはできません。そのため万が一の場合は自宅内・職場内で対応ができるように、救助用品(バール・ジャッキ・ノコギリ・ハンマー・手袋)や、応急手当の道具を準備しておくことも必要になります。

 できるだけ救助や手当が必要な事態を割けるようにすること、必要になった場合も自力で対応する準備をすることで、外部支援が望めない場合に命を守るための対策を行ってください。また感染症対策としては非常時であっても他人との対面を避けることが重要ですので、家族内で完結できるようにするという効果も得られます。

 

■防災備蓄品の準備

 またパンデミック時には、救助活動だけでなく生きのびた方に対する支援が遅れたり、量が不足することも考えられます。また被災地の店舗営業再開にも時間がかかったり、制約がかかる恐れがあります。そのため、大地震や浸水害による停電や断水など、ライフラインの停止に対する備え、代替手段の準備が平時よりも重要になります。

 家庭における防災備蓄品の量の目安は、最低3日分・できれば1週間分です。しかしパンデミック複合災害を考慮するのであれば、最低1週間・できれば2週間分程度の備蓄品を確保しておきたいところです。非常用トイレ・カセットコンロとガスなどのライフライン代替品、・飲料水・食料品・日用品などの生活物資が該当します。

 また、乳児のオムツやミルク、介護用品、アレルギーに対応した食品、ペットフードやペット用品など、家族にとっては絶対に欠かせないが、避難所で入手しづらいものがある場合は、特に自宅での備蓄が重要になります。在庫が無くなってから補充するのではなく、常にストックを持つようにしてください。

 なお、パンデミック対策で重要なマスクや消毒薬は、平時に災害が生じた場合の避難所における感染症対策…夏場であれば食中毒、冬場であればインフルエンザ対策などにも有効ですので、日頃の備蓄品にこうした感染症対策グッズを追加しても無駄にはなりません。

 

■避難所へ行かずに済ませる準備

 「感染症パンデミック」×「自然災害」の組み合わせで、最もイメージしやすい困りごとは、やはり避難所の「3密」による局地的な感染爆発ではないでしょうか。これを避けるために最も有効な対策は、対面を避けるためにそもそも避難所へ行かないことです。

 平時に生じる大地震や水害においても、自宅が無事であり、停止したライフラインを備蓄品などで代替できるのであれば、避難所へ行く必要はありません。特に高齢者・要介護者・妊婦・乳幼児・ペットなどが家族にいる場合、避難所の生活には制約が多く、とりわけ高齢者などは災害関連死につながる可能性もあります。

 もちろん、津波・洪水・土砂災害など自宅に留まると命に関わるような災害が生じている場合は、感染リスクよりも留まった場合の危険の方が高くなりますので「避難場所」へ移動することが必須です。しかしこれらが生じない地域であれば、緊急避難は不要となります。自宅周辺のハザードマップを確認しておき、命に危険が生じる災害の影響が生じるのかどうかを確認しておくことがまず重要です。

 さらに、命を守った後に自宅が損傷していたり、ライフラインの停止により生活ができなくなっていたりする場合は「避難所」へ行くことになります。しかし前述の二つの対策、負傷しないための地震対策と、防災備蓄品の準備を徹底しておけば、パンデミック時に限らず避難所へ行かずに生活をする「在宅避難」という選択を取れるようになります。必要な避難は躊躇無く、しかし不要な避難は行わなくてもすむような準備をしておくとよいでしょう。


 ※本記事の前編 「パンデミック複合災害で想定される困りごとと事前対策:前編」も
あわせてお読みください。

 

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