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防災のキホンvol.1 :水害ハザードマップを見る(基礎編)

[fa icon="calendar"] 2020/07/09 14:29:06 / by 高荷 智也

高荷 智也


shutterstock_1309980421-[更新済み]  

 今回から新シリーズのコラムをお届けします。「いまさら聞けない!防災のキホン」と題しまして、水害・大地震・噴火・感染症など、いつ巻き込まれてもおかしくない自然災害から生命や事業を守るための基本を、改めてご紹介して参りたいと思います。初回のテーマは、現在進行系で発生しております「水害」、とりわけハザードマップの活用について解説いたします。

 
 さて、202074日に熊本県を流れる球磨川が氾濫し、大きな被害が生じています。死者数十名という大規模な水害に発展していますが、この速報を国土地理院が浸水推定図という地図に表して公開をしています。地図上で青く示されているエリアが浸水被害を受けた地域で、色が濃くなるほど深く浸水していることを示しています。

 

ハザードマップ

 昨年2019年の令和元年東日本台風や、2018年の西日本豪雨などでも全国的に浸水害が発生し、このような浸水被害を示す地図が多く公開されています。しかしこれらの大規模な浸水被害が「想定外」の災害だったのかと言えば…実は、浸水の多くは想定されていたのです。

 以下の地図は、前述の浸水想定図(熊本県人吉市・球磨村周辺)と同じエリアの、「浸水ハザードマップ」です。洪水により浸水が想定される地域に色が付けられており、黄色→赤色→紫色の順番に深く浸水することが示されています。

 

ハザードマップ

 

 先ほどの浸水想定図と、同じ場所の浸水ハザードマップを重ねてみますと、色の範囲がおおよそ重なります。つまり今回、「球磨川が氾濫して洪水が発生した場合」の影響範囲と程度は、事前に想定されていたということになります。このように、「浸水ハザードマップ」による影響範囲の想定と、実際の被害が重なる事例は珍しい物ではなく、近年生じた多くの浸水害で同様の状況となっています。

 

 もちろん、ハザードマップは「被害が発生した場合の想定」であり、実際にその被害がいつ生じるのかは分かりません。今回の球磨川氾濫でも、警報が出たのが深夜21時過ぎで、球磨村全域に避難指示が出たのが翌日午前3時半、人吉市全域に避難指示が出たのは同5時過ぎと進行が早く、かつ夜間に生じたため、寝て・起きたらすでに避難が間に合わなかった、という状況が生じています。

 しかし、事前にハザードマップを確認しておくことができれば、浸水が発生した場合に自宅や職場へ危険が生じるのかどうかを把握することができます。避難勧告や避難指示が出た際に、素早く避難を開始することができますし、日中に警報や避難の情報が出れば、余裕を持って避難場所へ移動することも可能です。

 

 必ず不意打ちで生じ、また発生するまでどのような被害が生じるかが分からない大地震と異なり、浸水は発生するタイミングが数時間前にわかり、また発生時の影響度合いは高い精度で想定されています。事前にハザードマップを見ておけば、危険が迫っている際に逃げるべきかどうか、またどこへ逃げれば良いのかが分かります。自宅や職場周辺で水害に巻き込まれる前に、必ずハザードマップを確認するようにしてください。

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Topics: BCP情報

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