今回は久しぶりに、ちまたに溢れる防災トリビアや防災グッズの噂、それホント?という様々な情報を実験・検証するシリーズ「自腹で検証!防災の噂」です。今回は、「洪水・浸水時の靴」についてご紹介します。
ここ数年、記録的な豪雨が相次いでいます。平成最後の年に平成最悪の被害を生じさせた『平成30年7月豪雨(西日本豪雨)』。令和最初の年に記録的な被害をもたらした『令和元年東日本台風(台風19号)』と『令和元年房総半島台風(台風15号)』。そして86名もの死者・行方不明者を生じさせた『令和2年7月豪雨』…。被災された方々には心からのお見舞いを申し上げるとともに、現在も復旧に尽力されている皆さまには安全に留意をされた上でご活躍されることをお祈りいたします。
さて、台風や大雨の影響で洪水や浸水が生じた際、『浸水避難に「長靴」はNGです』というアドバイスを見かけたことはないでしょうか?水が入ると動きづらくなり、最悪の場合は脱げることがあるため、長靴ではなく縛れる紐靴の方がよいという理屈なのですが、これは本当なのでしょうか?
ということで今回は、「台風や大雨で浸水した街の中を避難する際、一番適した靴はなにか?」を実際に検証して参りたいと思います。
今回の実験に用いた靴は次の3種類です。
- ただの長靴…ただの長靴です、スポンと履けて、スポンと脱げるタイプです。
- レインブーツ…ぴったりとした長靴で、手を使って履いたり脱いだりします。足を入れる口は紐できつく締めることもできます。
- 普通の紐靴…防水加工などはされていない、普通のスニーカーです。
この3種類の靴を履き、実際に水中を歩いて、脱げるのか脱げないのか、歩きづらいのか歩きやすいのか、検証をしてきました(静岡県沼津市の海です)。水害避難と言うことで、背中にはリュック、手には足下を確認するための「長い棒(登山用ストック)」を持っています。
歩いた場所は2種類、
●浅い場所…長靴が水没しない、膝下程度の水深の場所
●深い場所…長靴が水没する、膝上を超える深い場所
この2箇所を、「普通の長靴」「レインブーツ」「紐靴」で歩き、「浸水避難時に長靴はNG」が本当かどうかを試した、というのが今回の内容となります。
なおいずれのパターンでも共通し、靴の中に「踏み抜き防止インソール」を入れています。
セーフティインソールとも呼ばれますが、普段履いている靴の中に入れておくと、足下にクギやガラスやガレキなどが落ちていた際に、うっかり踏み抜くことを防止してくれるアイテムです。頑丈な鉄板タイプと、特殊繊維タイプのものがありますが、普段使いの靴などに入れる場合はやわらかい後者がオススメです。
この画像は、特殊繊維タイプの踏み抜き防止インソールに釘を打っている所ですが、何度か叩く程度では貫通しませんでした。水害避難時にも様々な危険物が水中に潜んでいる恐れがありますので、長靴などの中にこうしたインソールを入れるようにしてください。
それでは「水害避難で長靴はNG?」の検証結果は、次回のコラムでご紹介します。どうぞお楽しみに!
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