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自腹で検証! 防災の噂 vol.9 :水害・浸水避難時の「靴」選び、長靴は脱げるからNGは本当か?(検証編)

[fa icon="calendar"] 2020/08/25 10:08:16 / by 高荷 智也

高荷 智也


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 ちまたに溢れる防災トリビアや防災グッズの噂、それホント?という様々な情報を実験・検証するシリーズ「自腹で検証!防災の噂」です。今回は、「洪水害・浸水避難時の「靴」選び、長靴は脱げるからNGは本当か?」の検証結果についてご紹介します

今回の実験内容は次の通りです(詳しくは前編のコラムをご覧ください)。

  • 浅い場所…長靴が水没しない、膝下程度の水深の場所
  • 深い場所…長靴が水没する、膝上を超える深い場所

 


この2箇所を、「普通の長靴」「レインブーツ」「紐靴」で歩き、「浸水避難時に長靴はNG」が本当かどうかを試した、というのが今回の内容となります。歩く場所は海の中…です。それでは早速結果を見て参りましょう。

水害避難

 

結果①:浅い場所…長靴が水没しない程度の、膝下水深の場合

 まず、浅い場所を歩いた場合の結果です。街中で冠水した場合も、かろうじて地面が見えているような水深ですが、子どもはこの深さでも危険であるため、足下が見えない場合の避難は基本的に最後の手段であると考えてください。

水害避難

 長靴が沈まない場所であれば、やはり長靴を履いて避難するのが最適です。靴が水没して濡れると歩きづらくなりますし、足に傷などがある場合は感染症などのリスクも高まるためです。浸水が始まった直後や、念のために早期避難を実施する場合などは、長靴があればそれを履いて移動するのがよいでしょう。なお紐靴もきちんと締めておけば脱げることはありませんが、とうぜんグショグショに濡れて歩きづらくなりますので、長靴が使える状況であれば、長靴が浸水避難には最も適しています。

 

結果②:深い場所…長靴が水没する、膝上水深の場合


 次に、深い場所を歩いた場合の結果です。膝上水深となるため、足下は恐らく見えませんし、子どもの場合は歩行も困難な状況になっています。大人の場合もフタの外れたマンホールや側溝、用水路などに落下した場合は助からない恐れがありますので、その場に留まると命が危ない、という状況でない限りは移動すべきでない状況と言えます。

水害避難
 長靴が水没する深さになりますと、「普通の長靴」は脱げやすくなるため危険です。水中をずっと歩く場合は問題ありませんが、ザブザブと水中と地上を出入りするような場所では、長靴の中に入った水の重みで、すっぽり脱げそうになってしまいます。「普通の長靴」しかない場合は、紐靴を履いて避難した方がよいでしょう。

一方同じ長靴でも足にぴったりとしたレインブーツは、紐で締めることもできますので脱げることはありません。浸水時は水だけでなく、ガレキや様々な危険物も流れてくる恐れがあるため、できるだけ水中を保護できるよう、このようなぴったりとした長靴を履くのがオススメです。ただし脱げませんが水没はしますので、避難先で使うための着替えやタオル・替えの靴などを持って行く必要はあります。

 

結論…水害・浸水の避難で履くべき靴の選び方は?


 というわけで結論です。まず自宅や職場にレインブーツ・ぴったりとした脱げづらい長靴がある場合は、これが一番避難に適しています。レインブーツがない場合、避難経路がまだ水没していなければ普通の長靴がよいでしょう。濡れて泥だらけになってもすぐに洗って乾かすことができるため、避難後の取り扱いがしやすいというメリットもあります。長靴が水没する水深になっている場合はガッシリ締められる紐靴を履くのが安全です。

水害避難

 また、どうせ濡れるからといって、サンダルなどを履くのはNGです。浸水時は雨水だけでなく下水が溢れている恐れがあるため、水中に肌をさらし続けると感染症などのリスクにさらされる恐れがあります。また尖ったガレキや割れたガラスなど、危険物が流れている場合もありますので、できるだけ肌を水中に出さない長靴か、紐靴を履く場合もハイカットなどの足を保護できる物がよいでしょう。


 なお、ここでご紹介している「浸水時の避難」は最後の手段です。水没した場所を歩くことは危険を伴いますので、浸水前に「早期避難」をするか、浸水後の場合は自宅の二階や建物の高層階などへの「垂直避難」が大原則となるためです。どうしても水没した街の中を避難しなければならない際には、ぜひ参考にしてください。

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Topics: BCP情報

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Written by 高荷 智也