Bitis ブログ

自腹で検証!防災の噂:避難生活やオフィス宿泊に欲しい、寝袋と簡易マット(前編・実験編)

[fa icon="calendar"] 2021/02/09 11:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


防災対策 防寒  

 ちまたに溢れる防災トリビアや防災グッズの噂、それホント?という様々な情報を実験するシリーズ「自腹で検証!防災の噂」、今回のテーマは、「寝袋+簡易マット」について実験と紹介をいたします。

 

■できれば準備をしたい防災備蓄品

 大地震や風水害の影響で、自宅に留まることができなくなった場合は避難所へ移動することになりますが、避難所は宿泊施設ではありませんので基本は床の上で雑魚寝となります。また出勤中に被災して自宅へ帰れなくなった場合もオフィスで過ごすことになりますが、自分1名だけであればともかく、多くの人が帰宅困難となった場合は就寝環境をどうするかが問題となります。
このような状況にそなえて準備をしたい道具が、寝袋や毛布、そして簡易マットなどの、掛け布団・敷き布団を代替するアイテムです。防寒用には寝袋や毛布が不可欠であり、そして固くて冷たい床の上で眠るためにはマットが重要になります。今回のコラムは、特に「簡易マット」の性能やオススメ商品についてご紹介をいたします。

■実験①…「寝袋」を使うと「保温力」はどの程度改善するか

 避難所にしばらく滞在するシチュエーションを考えてみましょう。具体的には、学校の体育館や教室など、固くて冷たい床の上でしばらく過ごす場合の想定となります。避難所には備蓄品として毛布などが用意されていますが、災害の状況や多数の被災者が生じている場合は全員に行き渡らない可能性があります。また毛布があっても、床に敷くような敷物の備蓄はほとんどありませんので、こうしたアイテムは自前で持ち込む必要があります。
 停電して暖房が停止した冬の避難所、毛布や布団無しで一晩過ごせるかをイメージすれば、それが難しそうであることは想像に難くありません。寝袋なり毛布なり、何かしらの寝具を準備しておかなければ厳しい状態になりそうだということはイメージできますが、具体的どのくらい厳しい状況になるのか、実験して検証してみました。

●沸騰したお湯を入れた湯たんぽを準備

● 室温約8.5℃(外気は約4℃)の部屋に9時間放置
● 5分おきに湯たんぽ表面の温度を計測
●「床の上」に湯たんぽを置いた場合と、「寝袋の中」に湯たんぽを入れた場合で比較

防災グッズ

              図1:湯たんぽ温度変化グラフ(床・寝袋)


 人間の体温ではなくあくまでも「湯たんぽ」ですが、「①床の上に置いた場合」、「②寝袋などに入れた場合」で、大きな変化が見られます。


■実験②…「簡易マット」を使うと「保温力」はどの程度改善するか

 しかし寝袋だけでは、固い床の上に寝転がった場合に腰や背中などがかなり痛くなります。アウトドアでキャンプなどを行う場合は、寝袋とマットを組み合わせることが基本であるなど、寝心地を改善するためには床に敷くマットが欲しい所です。では、マット併用した場合の「保温」力はどのように変化するのか、もうひとつ実験を行いました。

● 実験①と同じ条件で、もうひとつ湯たんぽを追加

●1)「床の上」に湯たんぽを置いて9時間放置
● 2)「床の上」に「寝袋」を敷いて、その中に湯たんぽを入れて9時間放置
● 3)「床の上」に「マット」を置き、その上に「寝袋」を敷いて、湯たんぽを入れて9時間放置

防災グッズ

           図2:湯たんぽ温度変化グラフ(床・寝袋・マット)


 実験結果はグラフの通りです。「①床の上」「②寝袋だけ」と比べて、「③寝袋+エアマット」を使うと、さらに1割ほど保温力が改善しました。特に冬場の寒い室内・固い床などで寝起きする場合には効果を実感できそうです。またグラフには掲載しておりませんが、「④寝袋を使わず「床の上にマット」だけを置いて、その上に湯たんぽを設置した場合」の実験も行ったところ、結果は「①床の上」に直接設置とほとんど変わりませんでした。
結論としては、以下の通りです。

● 床の上に寝転ぶと、寒い
●床の上にマットだけを置いて寝転んでも、寒い
● 床の上に寝袋を敷いて中に入れば、劇的に暖かい
● 床の上にマットを置いて、その上に寝袋を敷いて中に入ると、さらに暖かく体も痛くならない

 寒さ対策でまず行うべきは、寝袋や毛布などを用いて、体の周りに動かない空気の層を作ることです。そして寝心地の改善のためには、床にやわらかいマットなどを敷くことが重要。ということで、寝袋やエマージェンシーブランケットなどは必須、マットはできれば準備すべき、という優先順位が考えられます。


 次回のコラムでは、具体的にオススメをしたい安価なエアマットをご紹介いたします。



===============================================================

BCP対策として初動対応マニュアルの作成はお済ですか?マニュアルを作成する上で、災害リストの想定が必要になってきます。リスクを想定して避難計画を立てるポイントをまとめたホワイトペーパーをご用意しておりますので、ぜひご活用ください!

↓ダウンロードはこちらから
初動対応マニュアル「災害リスク想定」

 ===============================================================

オフィス受付用サイネージにPICLESを利用している事例を公開しております。
下記ブログに活用方法をまとめておりますので、ご参考ください!

「デジタルサイネージ:オフィスの受付での活用事例」

=============================================================


Topics: BCP情報

あわせて読みたい

高荷 智也

Written by 高荷 智也