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防災のキホン:東日本大震災10年目、熊本地震5年目から今学ぶこと(前編:強い揺れに警戒)

[fa icon="calendar"] 2021/03/10 11:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


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 2011年3月11日の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)から10年、2016年4月14日・16日の熊本地震から5年が経過します。多くの犠牲を生じさせたこれらの震災ですが、今後の防災対策に生かす学びを少しでも多く見つけ出し、そして実践することが、犠牲者に対する追悼になるのだと思います。

 今回と次回のコラムでは、いま改めて確認をしたい、地震対策の新しい常識についてご紹介いたします。

 

 

■3.11の2日前に生じていた「大規模前震」

 今だからこそ分かることですが、3.11「東北地方太平洋沖地震(東日本大震災を引き起こした“地震”の名前)」が発生する2日前から、大規模な「前震」が発生していました。全体の回数では、2011年3月9日から11日にかけて…

マグニチュード4の地震が19回

マグニチュード5の地震が17回

マグニチュード6の地震が6回

マグニチュード7の地震が1回

と、合計44回の地震が発生していました。とりわけ、マグニチュード6以上のいわゆる「大地震」に分類される地震が多く発生していたことが特徴です。具体的には、

 

03/09 11:45 最大震度5弱…M7.3

の大地震が前触れなく発生し、その13分後に

03/09 11:58 最大震度3…M6

が、さらに2時間後には、

03/09 13:36 最大震度3…M6.1

が発生、この日はこの後静かになりまたが、翌日の深夜に、

03/10 03:16 最大震度3…M6.4

が生じ、この地震の28分後に、

03/10 03:44 最大震度3…M6.3

と同規模の地震が発生、さらに3時間後、

03/10 06:24 最大震度4…M6.8

とかなり大きな地震が生じ、その後、M4~5.9の地震が12回発生、そして…

03/11 14:46 最大震度7…M9

と、全世界的に見ても有数の、超巨大地震へとつながりました。

 この大地震と一連の「余震」は、いまでこそ3.11超巨大地震の「前震」だったことが分かっている訳ですが、当時はこの前震こそが「本震」だと思われていた訳で、なぜ3.11に繋がる大地震を見逃したのかと悔やむのは、結果論に過ぎません。

 また3月9日の大地震、規模こそM7.3とかなり大きな地震ですが、最大震度は宮城県などで観測された震度5弱と「それなり」であったため、「しばらくは余震に警戒しよう」と考えて実行したとしても、その警戒レベルが比較的軽微なものにならざるを得なかった。ということも、当時の地震常識に照らし合わせれば、仕方のなかったことだと言えるでしょう。

 

■「余震」という言葉をなくした2016年の熊本地震

 2016年の熊本地震でも、私達日本人はある教訓を得ています。熊本地震では、まず2016年4月14日の21時26分に、最大震度7を観測したM6.5の「1回目」の大地震が生じました。

これも「従来の常識」においては、しばらくの間余震に警戒という状態になり、その後の1日半で、最大震度5弱~6弱の強い「余震」が合計6回発生しました。

 しかし問題なのはその後、4月16日の深夜1時25分、再び最大震度7を観測した、1回目の「本震」よりも大きなM7.3の、「2回目の本震」が発生したことです。

 この2回目の本震は、1回目の地震に耐えた建物を倒壊させるなどの被害を生じさせ、従来の「まず本震がおき、その後は少し小さな余震がしばらく続く」という常識を吹き飛ばす結果となりました。

 実際、この熊本地震の結果を受けて、気象庁では「余震」という言葉は、最初の地震よりも規模の大きな地震は発生しないという印象を与えることから、防災上の呼びかけ等においては、さらに規模の大きな地震への注意を怠ることのないよう、「余震」ではなく「地震」という言葉を使用するように変化しています。

 

■大地震の後しばらくは「大地震」に警戒

 結果として「前震」を見逃すこととなった3.11の大地震、そして「2回の本震」を観測した熊本地震を受け、私達は新しい地震常識を得ることになりました。「大地震発生後、数日~1週間程度は、同程度~より強い規模の揺れに警戒する」ことです。

 自宅や事業所が、津波・地震火災・土砂災害などの影響範囲にある場合は、1回目の地震で被害が生じていなかった場合でも避難の準備をしておく。

室内に「家具の転倒・荷物の落下・ガラスの飛散」などが生じない「安全ゾーン」をつくっておき、揺れを感じたり緊急地震速報を受信したりした場合は、素早く逃げ込めるようにしておく。

このような警戒を行うことが重要です。多くの犠牲から学んで来た新しい常識を、ぜひ活用できるよう、意識をしていきたいと思います。

 



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