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自腹で検証!防災の噂 vol.13 ライフライン停止に役立つ「カセットガス」の活用(後編)

[fa icon="calendar"] 2021/05/25 12:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


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 ちまたに溢れる防災トリビアや防災グッズの噂、それホント?という様々な情報を実験するシリーズ「自腹で検証!防災の噂」、今回のテーマは前回に引き続き「カセットガス」。停電・停ガス時に便利なカセットガス器具ですが、燃料となるカセットガスボンベがなければ意味がありません。今回はカセットガスボンベの備蓄についてのお話です。


■カセットガスボンベの中身について

そもそもカセットガスボンベの中には何が入っているのでしょうか。手元にボンベがあれば、それを手で振ってみていただきたいのですが、「チャプチャプ」と水のようなものが入っている音がするはずです。(音がしない場合、そのカセットガスは空っぽです)。カセットガスボンベの中には、LPガス(液化石油ガス)が充填されていますが、缶の中に入っている状態では、液体と気体の両方が混在しています。このボンベをカセットガス器具に取り付けると、缶の中のガスだけを取り出すことができるようになっていて、これを燃焼させる仕組みになっています。
LPガスにはいくつか種類があり、カセットガスに使われるものには「ブタン」「イソブタン」「プロパン」があります。「普通のカセットガスボンベ」の主成分はブタンガスですが、ブタンは気温が10度以下になると気化しづらくなるため、冬の屋外などでは使うことができません。そのため「ハイパワーガスボンベ」などには、マイナス11度まで気化するイソブタンや、マイナス42度まで気化するプロパンが詰められており、寒い場所でも使うことができるようになっています。
※なお、自宅のガスが都市ガスでなくLPガスの世帯も多くありますが、このボンベの中身も同じです。家庭用のガスの場合は、冬でも使える様にプロパンの成分が多めとなっており、そのため「LPガス=プロパンガス」と呼ぶような場合もあります。




■カセットガスボンベの期限について

カセットガスボンベの保管期間は通常7年です。LPガスそのものは腐ったり変質したりすることがないため100年でも保管しておくことができますが、ガスボンベが錆びることと、ガスを外に漏らさないゴムパッキンが劣化してしまうため、7年が期限になっています。なお、カセットガスコンロにもゴムパッキンが付いており、こちらはおよそ10年で買い換えるのが目安となっています。


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また、7年未満のガスボンベであっても、保存状態が悪いとこのように錆びてしまうことがあります。錆びたり缶が変形している場合は危険ですので、使用せずに廃棄をします。風通しのよい屋外で、ボンベの先端をコンクリートなどに押しつけるとガスが噴き出しますので、これを空になるまで続けてください。密室で行うと爆発事故の原因となるため絶対にNGです。




■カセットガスボンベの期限について

ではボンベはどのくらい備蓄すべきでしょうか。カセットガスコンロは、ボンベ1本で60分程度の利用が目安ですので、ボンベ1本で1~2名の1日分となります。防災備蓄の目安は、最低3日・できれば7日分が目安となります。そのためボンベについても、1~2名辺り、最低3本・できれば7本、可能ならそれ以上を目安に備蓄を行います。
日頃からカセットガス器具を使っている場合は、古いボンベから順次消費して入れ替えればよいのですが、普段カセットコンロなどを使わない場合は、ある程度強制的に消費する習慣が必要になります。例えば3~4名の家族で、14本のボンベを備蓄する場合、消費期限は7年ですので、1年で2本使い、買い換えれば良いことになります。
カセットコンロの動作確認を兼ねて、1年に2回程度、カセットコンロやカセットたこ焼き器を使った食事をするようにする、などの対応を無理のない範囲で行ってみて下さい。カセットガスストーブなどを日常で使う様になると、より多くのガスを消費することができるようになりますので、箱買いなどの備蓄も可能となります。


■カセットガスの廃棄について

カセットガスボンベの廃棄は、自治体によって方法が変わりますが、基本的には危険物として回収されることになります。この時、必ず中身を使い切って(コンロなどで燃やしきるか、先端を屋外の固い物に押しつけて出し切る)から廃棄します。その後、缶に穴を空けて回収に出すか、穴を空けずに回収を出すかは自治体により異なりますので確認してください。穴を空ける場合はこれら写真のような器具を用います。


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これは缶切りと同じようなタイプの器具で、テコの原理で穴を空けることができます。いずれも小学生でも使えるような簡単な道具ですので、穴を空けてから回収に出す自治体にお住まいの場合は、1つご自宅に備えておくとよいでしょう。


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災害時に準備があるととても役立つ、カセットガス器具とガスボンベ。防災備蓄の一環としてぜひ、ご家庭におひとついかがでしょうか。



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