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水害ハザードマップで自宅・職場周辺の危険を把握・2021版(高潮編)

[fa icon="calendar"] 2021/08/11 10:30:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


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 直近で台風の上陸が増加するなど、水害リスクが高い状態が続いています。当コラムも引き続き「ハザードマップ」の詳細に関するお話、今回は特に台風接近時に注意が必要となる「高潮ハザードマップ」について解説をします。

今回もハザードマップは、国土交通省の「重ねるハザードマップ」を用いて解説をします

 

■高潮ハザードマップを見る

 台風や発達した低気圧の接近に伴い、海岸付近の海面が異常に高くなる現象を「高潮」と言います。高潮は、気圧の低下により海面が吸い上げられ上昇したり、暴風により海岸付近に高波が集まったりすることで発生します。高潮の規模が大きくなると、海岸の堤防が破壊されて大規模な浸水につながる恐れがあり、高潮ハザードマップの整備などが進められています。

 重ねるハザードマップでも、「高潮ボタン」を押すことで影響範囲を確認することができます。例えば次の画像は東京駅周辺の高潮ハザードマップです。東京駅や銀座周辺といった繁華街の他、洪水発生時にも大きな影響を受ける「江東五区」と呼ばれる荒川流域でも大きな高潮被害の想定がされています。


                図1:重ねるハザードマップ(東京駅周辺・高潮)

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■高潮ハザードマップは現在進行で整備が進んでいる

 また次の画像は、大阪駅周辺の高潮ハザードマップです。東京駅周辺と同じく洪水でも大きな被害の想定がされているエリアですが、高潮発生時にも大規模な浸水想定となっています。

 

2:重ねるハザードマップ(大阪駅周辺・高潮)

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 高潮ハザードマップは、2015年(平成27年)の水防法改正により作成が進められるようになったハザードマップです。しかし、他のハザードマップと比べてまだ整備が進んでいない地域が多いため、今後の反映が待たれている状態となります。

 1959年の伊勢湾台風では、伊勢湾・三河湾で大規模な高潮が発生し、名古屋をはじめとする沿岸地域に5千名を超える死亡者が発生する、甚大な被害をもたらしました。現在もこのエリアでは高潮による大きな被害が想定されていますが、ハザードマップの整備はまだ完了していません。

 2021年6月に、愛知県から「高潮浸水想定区域」が公表されましたが、重ねるハザードマップや自治体のハザードマップへの反映はまだとなっています。高潮の影響を確認する際には、重ねるハザードマップの閲覧と合わせて、WEB検索で「○○市 高潮ハザードマップ」などの検索を行ってください。


参考:愛知県高潮浸水想定区域

■高潮ハザードマップは洪水ハザードマップと合わせて確認

 高潮の発生する状況では、同時に大規模な洪水も生じる可能性があります。そのため、高潮ハザードマップと、洪水ハザードマップは、セットで確認することが重要です。例えば次の画像は、2020東京オリンピックの選手村が整備された晴海五丁目周辺を表示した重ねるハザードマップに、「洪水」を重ねた状態です。

3:重ねるハザードマップ(東京晴海周辺・洪水)

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 晴海五丁目は埋め立て地であり、周辺にあるのは河川ではなく海ですので、洪水ボタンを押した状態では浸水影響の表示はありません。一見安全な場所に見えますが、この状態でさらに「高潮」ボタンを押すと次の様に表示されます。

4:重ねるハザードマップ(東京晴海周辺・洪水+高潮)

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 オリンピックの選手村周辺にも、最大3mの浸水が想定されるエリアとして色が付きました。8月8日のオリンピック最終日に、台風10号が関東付近を通過しましたが、状況によっては選手村を含む地域に対しても、高潮などの浸水を想定した避難指示が出ていたかもしれない、ということになるのです。

 

 河川があれば洪水の恐れが、海岸に近ければ高潮や津波の恐れがあります。いずれかのハザードマップだけを確認するのではなく、全てのハザードマップをチェックすることが重要です。次回のコラムでは、津波ハザードマップの詳細を解説します。

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