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ポータブル電源の選び方(機能・スペック編)

[fa icon="calendar"] 2021/10/15 11:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


蓄電  

 ちまたに溢れる防災トリビアや防災グッズの噂、それホント?という様々な情報を実験するシリーズ「自腹で検証!防災の噂」、今回のテーマは、「ポータブル電源」です。

雨具、LEDライト、非常食、技術の進歩に伴い防災グッズも進化していますが、ポータブル電源も進化するグッズのひとつと言えます。従来、電気を「貯める」防災はなかなか難しかったのですが、近年はポータブル電源を活用することで、現実的な蓄電ができるようになっています。今回はポータブル電源の選び方について解説します。

■ポータブル電源の「出力ポート」について
 ポータブル電源を選ぶ際に、必ずチェックしなければならないポイントが「出力ポート」です。この形状や数により、使える電気製品の種類が定まりますので、目的に応じた出力ポートが搭載されているかを確認することがまず重要です。

1)コンセント(ACポート)
 いわゆるコンセントのことで、家電などを使いたい場合に用います。ACとは交流のことで、ACポートとは「交流が取り出せる差込口」を意味します。基本的にコンセントが搭載されていないポータブル電源はありませんので、「定格出力」が、使用したい家電の「消費電力」を上回っていることを確認してください。

ACポートを選ぶ場合の注意
①「波形」…交流電源には「正弦波(せいげんは)」「矩形波(くけいは)」「修正正弦波(しゅうせいせいげんは)」などの種類があります。パソコンやテレビをはじめとする精密機器全般、またACアダプタで動く機器は、「正弦波」でなければ動かすことができません。ポータブル電源を選ぶ際には「正弦波」出力されるものを選択してください。

②「定格周波数」…「50Hz/60Hz」などの表示を見たことはあるでしょうか。日本の電気は東日本が50Hz(ヘルツ)、西日本が60Hz(ヘルツ)と周波数が分かれており、電気機器もこのいずれか、または両方に対応して作られています。ポータブル電源の周波数欄に「50Hz/60Hz」と両方の記載があればどのような電気機器も使用できますが、いずれかの数字しかない場合は、対応した家電を選択するか、家電側に「50Hz/60Hz」と両対応の記載があるものを選ぶ必要があります。

2)USB出力ポート
 多くのポータブル電源には、USB-AポートやUSB-Cポートが搭載されています。スマートフォンやモバイルバッテリーの充電などに用いるポートです。USBポートの中には、いわゆる「急速充電」に対応した「Quick Charge(クイックチャージ)」規格や「USB PD(Power Delivery)」規格などが搭載されているものもあります。手持ちのスマートフォンなどがこうした急速充電に対応している場合は、適合した機種を選ぶのもよいでしょう。

3)DC出力ポート
 「DC=直流」電源を取り出すためのポートです。数ミリサイズの丸い差込口をしたDCポートや、シガーソケットと呼ばれる自動車などで使われる大きな差込口をしたポートがあります。どちらも同じDCポートです。アウトドアや自動車向けの電気機器には、DC出力で動くアイテムがあるため、こうした家電を使いたい場合はDC出力ポートが就いている機種を選ぶと良いでしょう。
なお、USB出力は直流ですので、USBポートもDCポートの一種となります。

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 例えば画像のポータブル電源は、コンセント(ACポート)が2口、USB-Aポートが3口、DCのミニポートが2口とシガーソケットが1口という構成です。少し古いモデルになるため、最新型を選ぶとUSB-Cポートがついていたり、またスマホ用のQi充電(非接触充電)機能がついているものもあります。

■ポータブル電源の「数字」について
 出力ポートとあわせて、ポータブル電源を選ぶ際には各種スペックを「数字」で判断する必要があります。特に重要な数字の意味を知っておきましょう。

1) 定格出力
 100Wや1,500Wなど「W(ワット)」で表される値で、ポータブル電源が安定して出力し続けられる電力量を意味します。対になる電気機器側の言葉は「消費電力(W)」で、使いたい家電の消費電力よりも、ポータブル電源の定格出力が上回っている必要があります。消費電力の大きな家電を使いたい場合は、定格出力の大きなポータブル電源を選びましょう。

2) 最大出力(瞬間出力)
 定格出力と同じ「W(ワット)」で表される値で、ポータブル電源が瞬間的に出力できる電力量を意味します。対になる電気機器側の言葉は「起動電力(W)」や「突入電流」で、使いたい家電の起動電力よりも、ポータブル電源の最大出力または定格出力が上回っている必要があります。
※電気機器の中には、スイッチを入れた時に「消費電力」よりも大きな電力を消費するものがあります。モーターを使っている機器などは、動きはじめに最も力が必要になるため、安定動作時の「消費電力」よりも、最初だけ必要な「起動電力」が大きくなりがちです。起動電力の記載がある家電を使いたい場合は、ポータブル電源に「最大出力」の記載があればこれを下回っていることを確認。最大出力の記載がない場合は、「定格出力」を下回っていることを確認する必要があります。

3)最大容量: 「Wh(ワットアワー)」や「mAh(ミリアンペアアワー)」で表される値で、ポータブル電源が出力可能な電力の総量を意味します。「最大容量:500Wh」とあれば、消費電力100Wの電気機器を5時間使える容量ですし、「最大容量:100,000mAh」とあれば、5,000mAhのバッテリーを搭載したスマートフォンを20回満充電できる容量となります。
※実際には変換効率の問題があるため、最大容量をそのまま使い切ることはできません。最大容量×70%程度を実容量と考え、少し余裕のあるポータブル電源を選んでください。

 次回のコラムでは、用途に応じたポータブル電源の選び方について解説します。


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