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BCPの前提!企業の防災対策 第5話「人命救助と初期防災」

[fa icon="calendar"] 2017/11/20 12:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


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 BCPの前提として行う「従業員の命を守る防災対策」、「地震対策」と「避難の準備」に続く今回の内容は「初動対応」です。大地震が発生したが揺れが収まってきた。災害が生じたが避難はしなくて済みそう。といった場合の次の行動について計画します。

救助・応急手当・緊急搬送の対応

 大地震などの広域災害が発生すると、多くの家屋が倒壊します。生き埋め被害者が多発し、道路がガレキで寸断され緊急車両の通行が困難になります。社内で要救助者や怪我人が発生しても、救急車を呼べなかったり、病院で診察が受けられなかったりする可能性があるため、社内で対応するための準備が必要になります。

 

救助活動について

 地震で転倒したキャビネットや設備に押しつぶされた。ドアが変形して倉庫に閉じ込められた。エレベーターに閉じ込められたがメンテナンス会社と連絡が取れない。こうした場合、社内で救助活動を行う必要があります。バールやジャッキ、軍手やヘルメットなどの道具を、建物やフロアに1セットの割合で準備してください。

 また道具を準備するだけでは役に立ちません。道具を使った障害物除去訓練などを、防災訓練の項目の一環として定期的に実施し、道具を使うための方法を習得しておく必要があります。これはこの後に紹介する他の項目についても共通することです

 

応急手当について

 災害時は医療機関に怪我人が殺到します。そこでトリアージと呼ばれる選別が行われ、症状に優先順位が付けられます。すでに手遅れである重症者と、直ちに治療をしなくとも「命」に別状がない中・軽傷者を後回しにし、直ちに処置が必要な重症者のみを対応する仕組みです

 そのため、骨折“程度”の症状については、医療機関へ搬送しても治療を受けられない可能性があります。応急手当に必要な道具、AEDなどの設備を準備し、救助用の道具とあわせて保管をしてください。さらに防災訓練で普通救命講習を実施するなどし、応急手当のスキルを身につけさせるといった準備が必要です。

緊急搬送について

 大規模災害時には医療活動の効率を高めるため、地域内の医療機関が閉鎖され、いくつかの災害拠点病院に集約される場合があります。社内で対応できない重症者が生じた場合も、普段利用する最寄りの病院ではなく、こうした拠点病院へ搬送しなくてはなりません。

まずハザードマップ(災害想定地図)を用いて、災害の種類毎に、安全な場所にある災害拠点病院の場所を把握します。津波が想定されるのに海沿いの病院へ搬送する計画を立ててはならないということです。また救急車は来られない可能性が高いため、担架などの道具を準備し、使い方を訓練しておく必要があります。
 

火災・被害拡大の対応

 従業員の安全確保を図る一方、自社を原因とする二次災害を発生させないための対応を同時に行います。あらゆる企業において必要なことが火災防止、また特定業種において必要なことが有害物質の拡散防止です。

 

火災の初期消火対応

 前述の通り、大地震などの広域災害が発生した場合、各地で同時に火災が発生し、かつ道路が寸断されて車両の交通が困難になる恐れがあります。社内で火災が発生しても、まず119番につながらない、つながったとしても消防車が出動できない可能性が高いのです。

 そのため、消火栓やスプリンクラーなど、法律で定められる消火設備の設置はもちろん、消火器などの消火器具の準備も行い、社内で初期消火が行える体制を構築しておく必要があります。自主防災組織として担当者を定めておき、防災訓練の際に火災消火訓練を取り入れるようにしてください

 

有害物質の拡散を防ぐ

 製造業やサービス業など、有害物質を事業に用いている場合は、災害時の拡散を防ぐ対応が必須です。有害物質の拡散という二次災害が生じた場合、事業の復旧が困難になったり、想定外の費用が生じたりする恐れがあるため初期対応が重要になります。

 通常「人」以外の経営資源については、BCPにおける分析作業を行ってから対応手段を検討します。しかし有害物質の拡散防止については、BCPを発動する・しないに係わらず初期対応として必要になるため、本格的なBCP作業に取りかかる前の前提作業として実施します。

 

非常用トイレを設置する

 初動対応の最後に行うのは「非常用トイレの設置」です。救助と応急手当、火災や二次災害対応の次に、トイレ対応が続くのは不自然だと思われる方もいるかもしれません。しかしトイレ対策は災害対応として極めて重要なポイントなのです。

 

衛生環境悪化という被害を防止する

 初動対応の視点で考えれば、トイレ対策は「衛生環境」を維持するための活動です。水や食料と異なり、トイレの需要は災害直後からすぐに生じます。この時、断水や停電で職場のトイレが使用不能となっているとどうなるでしょうか。

 汚い話で恐縮ですが、水が流れない状態で無理矢理用を足されてしまうと、その個室を連続使用することは難しくなります。またトイレ設置に時間がかかり、その状態で二人三人と様を足されてしまえば、そこからトイレの状況を回復させることは困難です。

 実際、過去の災害においても、避難所において最も重要な問題となるのは常にトイレ対応です。初期に適切な対応が取れればトイレの衛生状態を保つことができ、BCPを発動するにせよしないにせよ、必要な労働環境を確保することができるのです


非常用トイレセットとウェットティッシュを備蓄しておく

 非常用トイレが必要になるのは、インフラが途絶えた社内に従業員をとどめる場合。また事業復旧の活動を行う場合です。そのため建物が無事であることを前提に、既存の便器にかぶせるタイプの「袋」と「凝固剤」がセットになっているものを必要数準備するとよいでしょう。

 必要量としては、「①宿泊対応:宿泊(帰宅困難)対象人数×5回×3日分」と、「②事業復旧対応:事業復旧要因×5回×7日分」を目安にします。社屋を開放して一般の避難者を受け入れる場合、その人数もプラスします。

 このといトイレットペーパーの備蓄を忘れがちになるため準備します。またトイレが使えない場合、水道も使えない可能性があります。衛生維持のため、手洗い用の長期保存ウェットティッシュなどを、備蓄したトイレと同じ数量分用意するようにしましょう。

  

Topics: BCP情報

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