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モバイルソーラーパネルの活用(機能・スペック編)

[fa icon="calendar"] 2021/11/09 11:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


ソーラーパネル  

 ちまたに溢れる防災トリビアや防災グッズの噂、それホント?という様々な情報を実験するシリーズ「自腹で検証!防災の噂」、今回のテーマは、「モバイルソーラーパネル」です。

前回のコラムでは、近年の進化が著しい「ポータブル電源」の選び方についてご紹介しました。
しかし、便利なポータブル電源も停電が長引くと利用できなくなってしまいます。そこで役立つのが、燃料・メンテナンス不要で、騒音も排気ガスもない発電機、ソーラーパネルです。

 今回は、ポータブル電源とあわせて準備と活用をしたい、モバイルソーラーパネルの選び方について解説します。

■ソーラーパネルとポータブル電源はベスト・カップル
 非常時用の電源と言えば、ガソリンやカセットガスタイプの発電機が上げられます。燃料備蓄や定期的なメンテナンスの手間はかかるものの、出力が安定している点が大きなメリットです。一方、ソーラーパネルの発電量は、太陽の光の強さにより左右されるため、雨天時や夜間には使えません。さらに、人が持ち運べるサイズのパネルでは出力もそれほど大きくないため、消費電力の大きな家電を動かすのには向きません。
 こうしたソーラーパネルの弱点を解消するのが、ポータブル電源との組み合わせです。ソーラーパネルで発電した電力をそのまま使うのではなく、一度ポータブル電源に充電をして使うのです。こうすれば、太陽の状態に関わりなく、またポータブル電源の出力にあわせて、大きな電力を取り出すことも可能となります。ポータブル電源とソーラーパネル、両者の弱点を補うことのできる組み合わせとなりますので、ぜひセットで準備頂きたいアイテムです。

■ソーラーパネルの選び方・数値の見方
 では、ポータブル電源を充電できるようなソーラーパネルを準備する場合、具体的にどう選べばよいか、どんな数字を見ればよいのか、解説いたします。

基本はメーカー品を

 ポータブル電源メーカーの多くは、自社ブランドでソーラーパネルを販売しています。これをセットで購入するのが最も間違いのない方法です。ソーラーパネルの出力電圧や、ポータブル電源側の入力ポートの形状が一致すれば、他のメーカーの物を使っても問題はありませんが、確実性を求める場合は、身も蓋もありませんがメーカーを揃えるのが一番です。

                                                      図1:100Wのモバイルソーラーパネルとポータブル電源の例

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最大出力
 ソーラーパネルの性能は基本的に「最大出力」で判断します。この数値が大きいほどたくさんの電気を作ることができ、ポータブル電源を短時間で充電することができるようになります。出力はパネルの面積に依存しますので、大きなパネルは出力も大きくなります。しかし取り回しが難しくなるため、バランスが重要です。ポータブル電源を充電する場合は、最低100W以上の出力があるパネルを選ぶのがオススメです。

定格電圧
 ソーラーパネルには、ポータブル電源と接続するためのポートと、スマホなどを直接接続するUSBポートなどが搭載されています。ポータブル電源と接続するポートについては、ソーラーパネル側の出力電圧と、ポータブル電源側の入力電圧が等しくなっている必要があります。多くのメーカーでは、18V~20V程度の値となっていますので、これを参考にしてください。

定格電流
 最大出力と定格電圧の割り算で求められる数値です。ソーラーパネルの出力が100Wで、定格電圧が20Vであれば、100÷20で定格電流は5Aとなります。パネル選びの際には参考値扱いですので、あまり気にしなくてよい数字です。

変換効率
 変換効率は、ソーラーパネルに当たる「太陽の光」が持つエネルギーを、どのくらいの効率で「電力」に変換できるのかという値です。一般的に、20%を超えていれば高性能と言えますが、この変換効率を考慮した最終的な性能が「最大出力」として表されますので、パネル選びの際には参考値程度に考えればOKです。同じ面積のパネルであれば、変換効率の高いパネルが有利ですが、パネル面積を大きくすれば最大出力は大きくなりますので、あまり気にしなくてよい数字です。

■パネルで直接スマホなどを充電する際の数値について
 ソーラーパネルの中には、にポータブル電源との接続だけでなく、直接スマートフォンや小型のモバイルバッテリーへ充電するためのUSB出力ポートが搭載されているものがあります。これを使うことでポータブル電源を使わず、直接スマホ充電などが可能です。
 USBポートの電圧は通常5Vです。一般的なスマホ充電器のスペックは、5V・1Aですので、この時の消費電力は5×1=5Wとなります。例えばソーラーパネルの出力が100Wであれば、理論的にはスマホ20台の同時充電ができるということになります。もちろん実際には変換ロスなどが生じるため、数台の充電が現実的です。
 また、曇りの日やパネルを日陰に置いた場合は、最大出力での発電ができません。この場合、ポータブル電源を充電するのに時間がかかったり、充電できなかったりすることがありますが、スマートフォン充電の場合は「5W」発電していれば最低限はOKということになりますので、曇っていてもスマホ程度であれば十分に充電できる可能性があるのです。出力の大きなパネルがあれば、コンディションが悪くてもスマホ充電ができる、大は小を兼ねるのがソーラーパネルの特徴です。

 以下は、出力100W、28W、数ワットのパネルの比較です。100Wパネルのサイズは1220mm×535mmと、それなりに大きなものになります。このサイズであれば多少曇っていてもスマホ充電は可能です。28Wサイズのパネルは、畳んでカバンに入るサイズにもかかわらず、晴天であれば通常のスマホ充電器並みに充電が可能です。手の平サイズのパネルは、ほとんど実用性はありません。スマホ充電に用いる場合は、最低でもA4サイズのパネル数枚分程度の面積(20~30W)が必要となります。

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 次回のコラムでは、モバイルソーラーパネルの選び方の活用について解説します。

 

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