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核兵器・核シェルターの基礎:前編 核爆発が生じると何が起きるのか

[fa icon="calendar"] 2022/03/14 11:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


No war  

 
 最悪の「人災」である「戦争」が生じています。2022年2月24日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が行われました。核兵器を保有している国家による他国への武力攻撃という、あり得なくはないが想定はされていなかった事態に際し、今回は「核」に関するお話をいたします。

 

■戦争による「核」被害について

 ロシアは米国を上回る、世界最大の核兵器保有国です。公開されている数だけでも6,000発以上の核兵器を保有しており、文字通り人類を滅亡させることができる国家であるといえます。一方、この戦争において核兵器が使用されるのかどうかは分かりません。
 ただ、攻撃側の国家が核兵器を保有しているという事実があり、また核兵器を用いなかったとしても「原子力発電所」が武力攻撃されて破壊された場合は、深刻な放射能汚染が発生するため、こうした「核災害」への備えは検討すべき対象と言えます。

■核爆発による影響について

 日本は世界唯一の核兵器による被爆国にして、世界で2件しかない最悪クラスの原発事故、2011年の福島第一原子力発電所事故を生じさせた国のひとつです。(※もう1カ国はチェルノブイリ原発を有していた旧ソビエト連邦です。)
 そのため日本で教育を受けた方であれば、「核兵器」の恐ろしさや、原発事故が生じた際の影響についての基礎知識を有していますが、現代の核兵器が具体的にどのような影響をもたらすかについては、そこまで詳しくないという方も多いかと思います。
核爆発が生じた際の影響は、大きく4つの項目に分解されます。

① 超高温
 核爆発は超高温をもたらします。爆心地付近は瞬間的に数千度の高温にさらされ、人体などを瞬時に蒸発させたり、建物などにも深刻な影響をもたらしたりします。通常の「爆弾」では超高温は発生しないため、これは核兵器の恐ろしい特徴のひとつです。

② 爆風・衝撃波
 核爆発は強烈な爆風・衝撃波を生じさせます。爆心地付近では秒速300mという爆風が通過し、高温を回避したあらゆるモノに衝撃波となって襲いかかります。さらに建物や内装が吹き飛ばされることで、散弾のように周囲を破壊する二次被害をもたらします。

③ 放射線(ガンマ線・中性子線)
 核兵器最大の特徴がこの放射線を出すことと、④の「死の灰」を生み出すことです。まず核爆発と同時に強烈な放射線が放出され、地下に避難し高温や爆風を回避した場合であっても、人体に対して深刻な影響、最悪の場合は即死をもたらします。
 また核爆発は大量の電磁パルスを発生させる場合があり、これは人体ではなくコンピューターや電子回路を焼き切って全て故障させてしまいます。適切に保護されていない機器が全て破壊されることで、その後の避難・復旧全般に影響をもたらします。

④ 死の灰(放射性降下物)
 核爆発(核分裂反応)は放射性物質を生み出します。放射性物質からは放射線が出るため、人体に悪影響をもたらします。放射性物質はチリなどと共に拡散していきますが、これを「放射性降下物」、別名「死の灰」、英語で「フォールアウト」と呼びます。
 「死の灰」は風に乗って広範囲を放射能汚染し、高温・爆発・初期放射線をまぬがれた人にも深刻な影響をもたらします。原発事故や原発への武力攻撃などがなされた場合も、死の灰が周囲を放射能汚染し、二次被害となって深刻な影響を長期間もたらすのです。
 死の灰そのものが毒物というより、放射線を出す物質が拡散されることで、近づけなくなると言う表現が正しくあります。

■核兵器の種類

 このように恐ろしい核爆発をもたらす核兵器ですが、核兵器には大きく分けると2つの種類があります。

「原爆」…核分裂反応による兵器

 原爆は、ウランやプルトニウムなどの「核分裂反応」を利用した兵器です。これを平和利用したものが原子力発電所ですが、前述の「死の灰」はこの「核分裂」が生じることで生成されます。そのため、核爆発だけでなく、原発事故が生じた際にも死の灰がばらまかれることになります。広島・長崎に投下されたのはこの原爆です。

「水爆」…核融合反応による兵器
 水爆は、水素(重水素・三重水素)の「核融合反応」を利用した兵器で、原爆を上回るエネルギーが放出されます。核融合を地上で起こすことは難しいため、現在は「原爆」を起爆剤の代わりにして、水素を核融合させています。実は、核合そのものではあまり死の灰は作られず、マッチ代わりに使っている原爆が死の灰を作っているのです。

 このように恐ろしい被害をもたらす核兵器ですが、これが今回の戦争に用いられるかは分かりません。ただ、ロシアは世界最大の核保有国であるという事実、そしてウクライナには原子力発電所があり、ロシアによる攻撃も生じているということは、認識しておかなければなりません。

 次回は、こうした状況への備えのひとつである「核シェルター」について解説します。

 

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