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「首都直下地震の被害想定」見直し資料を活用する:前編

[fa icon="calendar"] 2022/06/14 11:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


地震  


 北海道から沖縄まで、いつでもどこにでも巨大地震が生じる可能性のある日本ですが、とりわけ人口密集地である首都圏が大地震に襲われた場合は、ひときわ大きな被害が生じると想定されています。

 2022年5月25日、東京都から「首都直下地震等による東京の被害想定」の見直し資料が発表され、10年ぶりに新しい内容となりました。今回はこの資料における、東京以外の地域にも共通する防災のポイントを解説いたします。

■今回の想定見直しの背景について

 大きな被害が想定されている災害に関して、被害想定資料などが見直されたり、新たに作成されたりしますと、「もしかして大規模な災害が近づいているのでは…?」「事実を知った政府が、秘密裏に資料を作成しているのでは…?」と考えたくなるかもしれませんが、当然ながら無関係です。
 東京都は、2011年の東日本大震災をふまえ、2012年にも首都直下地震の被害想定資料を作成していました。その後、各種対策が推進される一方で、高齢者・単身世帯の増加などライフスタイルの変化も進んだことから、ちょうど10年が経過するタイミングで今回の見直しがされたのです。

■資料の特徴について

 前回2012年版の、「首都直下地震等による東京の被害想定」資料では、大地震による死者・負傷者・建物被害などの状況について、主に数値による定量的な情報が多くまとめられていました。この資料を活用することで、各自治体などが独自の防災対策や、BCP策定を進めてきたという背景もあります。

 一方、数字が中心の資料では、読み物としてイメージがしづらく、個人や家庭、あるいは企業が防災対策をする際に役立つ資料にはなっていませんでした。首都直下地震で数千名が死ぬ…と言われても、ではそれを受けてわが家は、我が社はどうすべきか…、と考えることは難しいですよね。また数字中心の資料は、当然ながらその対象地域以外においては役立たない、という側面もありました(その地域の予算で作成していますので、当然ではありますが)。

 今回見直された2022年版の被害想定資料では、前回と同じく数字を中心とした定量的な被害想定と合わせて、インフラ・ライフラインに対する被害状況や、大地震による生活への影響などについて、具体的なシチュエーションとあわせて解説された、「定性的な被害想定」が多数追加されました。この要素は、従来政府(内閣府)が作成する資料に多く登場していましたが、自治体が作成する資料にもこうした全体像が描かれるようになったのは、よい進化と言えます。

 そのため、今回の被害想定見直し資料は、個人や家庭、企業などが防災対策を行う際に「どんな被害が想定されるのか?」をイメージするための、ちょうどよい読み物として活用ができます。また、東京以外の地域に共通する項目も多いため、東京に自宅や事業所の無い方が読んでも、大変参考になる資料となっています。

■どこでどの資料を読めばよいか
 「首都直下地震等による東京の被害想定」資料は、東京都の防災ホームページで全文を読むことができます。「概要資料」「参考資料」「本冊」「図表集」と4つのブロックに分かれていますが、最低限は「概要資料」を見ることで理解できます。また今回の特徴である「シチュエーション別の被害想定イメージ」もこの概要資料に記載されていますので、まずはこちらをご覧ください。

東京都防災ホームページはこちら
首都直下地震等による東京の被害想定(令和4年5月25日公表)

次回後編では、この資料の見所…もとい、活用ポイントや特徴などをご紹介します。

 

 

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