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防災のキホン:台風情報の活用!正しく使って命を守る:前編

[fa icon="calendar"] 2022/07/12 11:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


台風  


 毎年夏になると必ず発生し、時には大きな被害をもたらす台風。コロナ複合災害が心配された2020年は12年ぶりに台風上陸ゼロな年となりましたが、翌2021年は3個の上陸、そして2022年は記録的な早さの梅雨明けと共に、7月上旬に台風が上陸するなど、年により違った姿を見せています。

関連記事:水害に備える!新しくなった避難情報活用のポイント

今回は「台風情報・進路情報」の活用方法について解説をします。
後編の記事はこちらから。)



 

■そもそも台風とは?

 毎年台風シーズンになりますと、「熱帯低気圧が発生」とか「台風○号になりました」といった報道がお天気コーナーで聞けるようになりますが、そもそも「台風」とはなんなのでしょうか。台風は「熱帯低気圧」の一種であり、そして熱帯的圧は様々な「低気圧」の一種です。低気圧にもいくつか種類があり、例えば日本周辺で発達する低気圧は「温帯低気圧」と呼ばれ、いわゆる「前線」を伴って雨を降らせます。

 一方、もう少し南…熱帯または亜熱帯地方で発達する低気圧は「熱帯低気圧」と呼ばれ、この低気圧は「前線」を作らないかわりに、周りの海水温が高いとどんどん発達して大きく(つまり気圧が低く)なります。そして熱帯低気圧が大きくなり、最大風速が17m/s以上になると、「台風」と呼ばれるようになるのです。

 というわけで、熱帯生まれの低気圧の中で、特に大きなものを特別に「台風」と呼んでいるのですが、例えば冬に発生して北海道などに大きな影響をもたらす通称「爆弾低気圧」があります。これは台風並みの暴風を伴う恐ろしい現象ですが、故郷が熱帯生まれではないので台風とは呼ばれません(冬の台風などとあだ名されますが、台風ではないのです)。

■強風域と暴風域について

              図:台風進路図…強風域と暴風域99_01



 台風情報と共に表示されるこの進路図ですが、正しい見方をご存じでしょうか。まず進路図の末端に当たる場所にある「×」印、これが台風の現在地を示します。そして船の軌跡のようなシッポがこれまでの進路を示します。これらはなんとなく分かりますね。

 赤色で示される○はいわゆる「暴風域」を、黄色で示される○は「強風域」を示します。暴風域は風速25m/s以上の風が吹いているか、その恐れがある範囲を。強風域は風速15m/s以上の風が吹いているか、その恐れがある範囲を示します。
台風の定義は風速が「17m/s以上」ですから、進路図には必ず「強風域」が示されますが、生まれたてもしくは消える直前の弱い台風には暴風域がない場合もあります(弱いとはいえ台風なので要警戒…いわゆる「四天王の中で最弱」というイメージですね)。

 風速が25m/s以上になると、直立で立つことはできませんし、樹木が折れたり屋根の瓦が飛んだりと、物理的な被害が生じはじめます。暴風域を伴う台風が接近する際には、屋外の物を片付けるなど厳に警戒が必要と言うことになります。


■台風の進路について

              図:台風進路図…今後の予測進路

99_02


 台風の進路図を見ると、日本に近づくにつれて白い円が大きくなります。これは台風そのものがドンドン大きくなっていることを示す…のではありません。この白い円は「予報円」と呼ばれ、台風が70%の確率でこの中に入るエリアを示しますが、予測ですので未来になるほど振れ幅が大きくなります。
 台風が進むにつれて予報円が大きくなるのは、だんだん予測が難しくなり、70%で台風の進路を示そうとするとどうしてもエリアが大きくなってしまうからなのです。ですから、台風が日本に接近し、進路の予測がしやすくなると予報円は小さくなり、進路上にあたる地域へ恐怖と警戒心を与えることになります。 


         図:台風進路図…令和元年東日本台風(2019年台風19号)

99_03




 例えばこの進路予報図は、100名を超える死者を生じさせた2019年の「令和元年東日本台風」の実際の予報図です。左側は5日先までの予報を示した上陸3日前の進路図、右側は24時間先までの予報を示した上陸当日の進路図です。

 同じ台風の過去と未来ということになりますが、右側の24時間予報の方は精度が高くなりますので、「予報円」の大きさはかなり小さくなり、正確な予想コースが描かれています。予報円が大きい間はまだ進路が確定しませんが、予報円が小さくなるといよいよ被害の想定がされるようになります。大きな影響が生じそうな場合は、強い警戒と事前準備が必要になります。

 後編のコラムでは、この進路図をよりマニアックに理解するためのポイントを紹介しています。

※コラム中の画像、実際の予報図は「気象庁」のものを、解説用の予報図は「Google MAPS」の衛星写真の上に、私がパワポで書いた図を重ねています。

 

 

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