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防災のキホン:後編:台風情報の活用!正しく使って命を守る

[fa icon="calendar"] 2022/07/21 11:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


台風  


 今回は前編に引き続き、台風情報・進路図を上手に活用するための方法について解説いたします。


 

■台風の大きさを読み取る

              図:台風進路図…暴風警戒域について100_01



 コラム前編でご紹介したこちらの台風進路図、台風の進路を示す「予報円」の大きさは、台風そのものの大きさではなく、台風が進んだ際に70%の確率で入るエリアを示すことを説明しました。では、予報円の周りにまとわりついている「赤線」はなんでしょうか。
 この赤線は「暴風警戒域」と言って、台風が予報円の中に進んだ際、暴風域に入る恐れがあるエリアの最大を示したものです。つまり70%の確率で、この赤い線に囲まれた範囲の「どこか」が暴風域に入る可能性があるということになります。赤線のなか全てが危険なのではなく、どこかが危険になるのだ、という点が重要です。


              図:うまれたて台風の進路図

台風進路


 熱帯低気圧が発達し、風速17m/s以上の風を伴うようになると「台風」になりますが(前回説明しましたね)、台風になり立てで風速25m/s以上の暴風域を伴わない場合は、進路図にも赤い線は描かれません。台風が北上しながら発達するにしたがって暴風域を伴うようになると、はじめて赤線が示されるようになるのです。

関連記事:「台風・大雨時に活用したいWEBサービス「キキクル(危険度分布)」


■台風の「ヤバさ」を進路図から読み取る

 では、台風の大きさや強さはどのように判断することができるのでしょうか。台風の進路図には、各地点の台風情報が記載されていますので、そこに記される台風の強さ(強い・非常に強い・猛烈な)や、大きさ(大型・超大型)を読むことで、正確な情報を得ることができます。
…が、実はもうひとつ、進路図からも台風の「ヤバさ」を読み取ることができるのです。


              図:進路図と暴風警戒域について

台風進路




 台風の進路図に示される赤い線「暴風警戒域」は、台風が「予報円」の中に入った際の暴風域を示すエリアです。ということは、台風が予報円のフチギリギリに進んだ場合は、暴風警戒域ギリギリまで暴風域が広がります。

 この図をご覧頂くと分かりやすいのですが、予報円のフチと、赤線の暴風警戒域のフチまでの距離が長ければ長いほど、暴風域が大きな台風、すなわちヤバイ台風ということになります。日本に近づくにつれて台風が弱まれば、この距離は短くなりますし、逆に勢力を保ったまま接近する場合は、予報円と赤線の距離が大きくなりますので、これはマズイ!という警戒を行うことになります。


         図:台風進路図…令和元年東日本台風(2019年台風19号)

100_04


 こちらの進路図は、前回もご紹介した2019年の「令和元年東日本台風」の実際の進路予想図です。左の図は上陸3日前の予想ですが、この時には日本に近づくにつれて勢力を弱めると考えられていました。そのため「予報円」と「暴風警戒域」の距離が、接近にしたがい短くなっていることが分かります。

 一方右の図は上陸半日前の予想図です。当初の予測と異なり、強い勢力を保ったまま本州に接近したため、予報円の周囲にかなり広い範囲で暴風警戒域が示されています。…と申しますか、有り体に言えば自治体が真っ青になって逃げ出したくなるレベル、直径数百キロの暴風域を伴う「超ヤバイ」台風が示されています。

 実際この令和元年東日本台風は、全国140箇所の堤防を同時に決壊させ、100名を超える死者を生じさせるなど甚大な被害をもたらしました。台風が上陸するタイミングで暴風警戒域が小さくならない場合は、厳重な警戒が必要であるということになるのです。

関連記事:水害に備える!新しくなった避難情報活用のポイント

 毎年かならず生じる台風、避難さえすれば死者は生じません。適切な情報収集と避難を、ぜひ行ってください。

※コラム中の画像、実際の予報図は「気象庁」のものを、解説用の予報図は「Google MAPS」の衛星写真の上に、私がパワポで書いた図を重ねています。

 

 

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