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初動対応マニュアルの作成 第1話「初動対応マニュアルとはなにか」

[fa icon="calendar"] 2018/06/06 10:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


BCP#2-1 

 

 前シリーズにて、BCP策定の前提として行うべき「企業の防災対策」の内容や優先順位をご紹介しました。今回より新シリーズとして、「初動対応マニュアル」の作成を解説していきます。

初動対応マニュアルとは何か

 「初動対応マニュアル」は、BCPを構成する要素のひとつで、災害発生直後に行うべき対応をまとめたドキュメントです。大規模な災害発生時における人命保護・二次災害の防止といった初期対応から、情報収集・対策本部の設置など意思決定にまつわる準備まで、BCPを用いるための環境作りとして必要な項目をまとめます。

 平時に行う事前準備の内容を、災害時に使用できる形へ落とし込み、本番を迎えた際には直接参照するドキュメントです。防災対策で準備した資機材を災害発生時に利用したり、BCPの事前分析で定めた「守るべき対象(中核事業・経営資源)」の被害状況を調べたりする際にもこのマニュアルを用います。総じて、事前準備と非常時対応をつなぐ存在が、この初動対応マニュアルであると言えます。

マニュアルの構成要素

 初動対応マニュアルには以下の内容を含ませます。


●防災対策

 事前に準備した防災用の資機材を、非常時に用いるための準備です。救助・応急手当・搬送・避難・初期消火などを行う際、参照しながら行動をした方がよい項目についてマニュアル化しておきます。

●インフラ

 災害によって電気・ガス・水道・通信回線が停止し、すぐに回復しそうにない場合、備蓄品や非常用品を用いてインフラを代替するための手順をまとめておきます。特にトイレ設置は最初に必要となるため重要です。

●情報収集

 災害の規模や今後の推移想定、社内外の経営資源の被害情報など、各種情報収集を行う際に必要なリストやチェックシート、あた安否確認の手順や回答内容をまとめるための集計表の雛形などを準備しておきます。

●意思決定

 集めた情報を元にBCPを発動するかどうか決定するために必要な項目をまとめます。非常対策本部のメンバー・設置場所・招集手順やBCPを用いる基準などをマニュアルとしてまとめておきます。

マニュアル作成の流れ

 初動対応マニュアルは、簡単に作成ができる項目と、事前の準備が必要な項目に分かれます。人命に関わる箇所は「簡単」な項目に含まれるため、まずできるところから順番に策定するのがよいでしょう。

事前準備が不用な項目から着手

 防災対応とインフラの準備については、事業の内容に関わりなく同じような事前対策をマニュアルとしてまとめます。特に大地震は日本中どこでも生じる可能性がありますので、まずこれに必要な準備、「救助」「応急手当」「緊急搬送」「初期消火」の手順を初動対応マニュアルにまとめるのがよいでしょう。

 さらに、大規模火災・津波・洪水・土砂災害・原発事故などが想定される地域の場合は避難計画をマニュアルに盛り込み、最後にインフラが寸断した場合の計画をまとめます。これらの内容はいずれも「事業影響度分析」や「リスクアセスメント」などの事前分析が不要なため、BCP本体を策定する前に作成を行うことが可能です。

 

分析作業を伴う項目は後回し

 一方、情報収集や意思決定にまつわるマニュアル作成の一部には、事前分析作業が必要となる項目が存在します。社内外の被害情報を収集するためには、守るべき対象(中核事業・重要業務・経営資源)が明らかになっている必要がありますし、意思決定を行うためには復旧目標が必要になるためです。

 そのため事前準備が必要な項目については、いわゆるBCPの本体となる「事業継続戦略」を定めた後に、初動対応マニュアルに反映させる形になります。初動対応マニュアルを策定する際は、事前準備無しで取りかかれる前半部分と、BCP本体の策定と並行して進める後半部分に分割するとよいでしょう

 

マニュアル制作のポイント

 初動対応マニュアルを使うのは災害のピーク時であり、パソコンなどに格納されているマニュアルを悠長に開く余裕はありません。非常時に使えるマニュアルにするために、注意すべきポイントを解説します。


必要な項目を簡潔にまとめる

 初動対応マニュアルが必要な状況は、大地震による揺れが収まった直後であるとか、台風などで停電が生じた場合であるとか、河川が決壊して避難指示が出た状況など、まさに災害のピーク時です。11秒を争うような状況であることも考えられるため、分厚く見づらいマニュアルでは役に立たない恐れがあります。

 特にシビアな状況で使用することが想定される防災対応の項目については、他のマニュアルとは切り離してもよいでしょう。大きな字、見やすい配置、分かりやすい図表、判断をさせずあらかじめ選択肢を記載するなど、非常時に必要な情報をすぐ閲覧できるような工夫が必要です。  


紙の利用時に最適化する

 初動対応マニュアルが必要な状況では、停電をしていたり、パソコンなどが使用できなかったりする可能性が高くあります。マニュアルはあらかじめ印刷・製本しておき、書き込み用のリストなどとあわせて準備しておきましょう。複数の担当者が閲覧できるように複数部を分散して保管しておくとすぐに取り出せるため役立ちます。

拠点単位で増やせるようにする

 BCP本体は、守ると定めた事業に応じて全社横断の対策を行いますが、初動対応マニュアル、とりわけ防災対応とインフラについては拠点単位で作成を行います。拠点が複数ある場合は、まず本社や重要拠点から策定を進め、完成後にこれを他の拠点へ展開できるようにするとよいでしょう。最初から全拠点のマニュアルを整備すると息切れをしてしまうため、まず雛形になる1箇所目から完成させるのがオススメです。

 

Topics: BCP情報

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