一昔前に比べると、テレワークという働き方も一般的になってきました。しかし、「テレワークに移行したら生産性が低下した」「業務が滞ってしまった」という問題を抱えてしまった企業や部署も多いのではないでしょうか。
この記事では、テレワークにおける課題や問題点、そしてそれらを解決する方法について解説します。
■テレワークにおける問題点
テレワークを行うにあたり、どのような問題が生じるのでしょうか。まずは、テレワークの課題について解説します。
・顔が見えないため、コミュニケーションが取りづらい
テレワークにおける課題として、オフィスと違い顔が見えないことによるコミュニケーション不全が挙げられます。
出典:「テレワークの実施状況に関するアンケート」(東京商工会議所 中小企業のデジタルシフト推進委員会)
テレワーク下では、各々が自宅や異なるコワーキングスペースなどから業務を行うことになるでしょう。そのため、一つの場所に集まって仕事をする従来のオフィスワークとは仕事の進め方などが大きく変わってきます。
それにより、従来では起きなかった問題が生じる例もあります。たとえば、「コミュニケーションが取れないことによる業務の遅延」や「ワークフローの機能不全」などが挙げられます。
フェイス・トゥ・フェイスであれば一瞬でできるやり取りも、テレワークであれば時間がかかってしまうかもしれません。また、従業員がオフィスに集っていたからこそ行うことのできたワークフローは、変更を余儀なくされるでしょう。
・情報共有に難が生じる
情報共有に難が生じるのも、テレワークにおける課題として挙げられます。オフィスであれば社内サーバへのアクセスや物理デバイス(もしくは紙の資料など)の受け渡しによって必要な情報を共有できますが、テレワークだとそうもいきません。
また、顔と顔を合わせて直接話す機会を作れないことにより、情報共有が滞ってしまうケースも考えられます。情報の流れが阻害されてしまうと、さまざまな業務に支障をきたす恐れがあります。
・セキュリティが心配
テレワークを行うにあたり、セキュリティ面に不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。オフィスで仕事をしていてもセキュリティリスクをゼロにすることはできませんが、各々が手の届く範囲で情報をやり取りしているという安心感があります。
一方、テレワークの場合は誰がどこからどの端末でどのような回線を使ってアクセスしているかが見えづらくなります。たとえ当人に悪意がないとしても、セキュリティの弱い環境からアクセスした場合、第三者により通信の内容を読み取られてしまうリスクもあるでしょう。
■テレワークの課題を解決するには?
では、そのようなテレワークの問題はどのように解決すればよいのでしょうか。次に、テレワークの課題解決について解説します。
・チャットやテレビ通話を活用する
チャットツールやテレビ電話を活用することで、コミュニケーション不全を防ぐことができます。フェイス・トゥ・フェイスでの会話には劣るかもしれませんが、ツールやシステムを活用すれば限りなくそれに近い環境を構築することができるでしょう。
また、目的に応じてコミュニケーション手段を選べることは大きなメリットです。トーク履歴を頻繁に確認するようなやり取りであれば文字情報であるチャット、お互い顔を突き合わせて直接的な反応を伺いたい場合はテレビ電話が有力な候補となります。
・各種クラウドサービスを活用する
各種クラウドサービスを活用すれば、コミュニケーションや情報共有の効率化を図れます。仕事で活用できるクラウドサービスとしては、下記のようなものが挙げられるでしょう。
● Google Workspace(旧G Suite)
● Evernote
● kintone
● Dropbox
それぞれに特徴が異なるため、必要に応じて使い分けることが可能です。
・業務システムを導入する
業務システムを導入することで、テレワークにおけるさまざまな課題を解決することができます。CRMやSFAといった業務システムは元々テレワークに特化したものではなく、従来業務の効率化を図るためのものです。
ただ、その特徴の一つに「外出先から社内のシステムにアクセスして必要なデータを取得できる」があります。もちろんシステムにもよるのですが、この辺りの特性を活かせば、ワークフローを大きく変更することなくテレワークに移行することもできるでしょう。
また、中にはテレワークに特化したシステムもリリースされているため、検討するのもよいかもしれません。
■テレワークをより効率化するためのアイデア
それでは、最後にテレワークを効率化するためのアイデアをご紹介します。「テレワークに移行したら生産性が大きく低下した」ということのないよう気をつけましょう。
・業務のペーパーレス化および自動化
業務のペーパーレス化や自動化を行うことで、テレワークの効率化に繋がります。ペーパーレス化は、文字通り業務から紙の書類や資料を排除しようといった取り組みです。
ペーパーレス化を行うことで、下記のようなメリットが生じます。
● インクや紙といったサプライコストの節約
● 書類や資料の保管スペースが不要になる
● 環境に配慮することができる
長期的に見てペーパーレス化に抗うのは難しいため、なるべく早い内に取り組むことをおすすめします。また、ルーチンワークの自動化を進めておけば、オフィスに人がいなくても業務をこなしやすくなります。
・100%テレワークにする必要はない
やりようによってテレワークによる生産性低下を防ぐことは可能ですが、業種によってはオフィスに人が必要なこともあるでしょう。そのような場合、100%テレワークにこだわる必要はなく、定期的に出社する制度を設けてもよいかもしれません。
テレワークの目的は各企業によって異なりますが、たとえば「コロナ対策のため」であるなら、50%出社を削減するだけでも効果は見込めます。もちろん100%テレワークにできるのであればそれにこしたことはありませんが、無理をしすぎて生産性が低下してしまうようでは本末転倒です。
もちろん、そのような場合でも長期的に完全テレワークに移行できる体制は整えておくべきでしょう。いつ何があるかは誰にも分からないからです。
・基幹システムの稼働時間を決める
基幹システムの稼働時間をあらかじめ定めておくことで、業務効率化に繋がる可能性があります。テレワークを行う際は何かしらのシステムにアクセスするのが一般的であり、システムが動いていないと業務を遂行することができません。
システムの稼働時間を定めるというのは、言い換えるとそれ以外の時間に業務を行うことができなくなるということです。「それでは業務が終わらないのでは?」という疑問を持つ人もいるかもしれませんが、「時間内に必ず業務を終わらせなければならない」という状況を作り出すことにより、効率化が達成される例もあるでしょう。
もちろん、ある程度の柔軟性は大事です。しかし、従業員からの求めに応じてシステムの稼働時間を変更してしまうと、結局オフィスで残業するのと変わらない結果になってしまうかもしれません。
■まとめ
テレワークは比較的新しい働き方なので、問題や課題が生じることも多いです。それらに柔軟かつ適切に対応し、従来のオフィスワークを超えるような生産性向上を目指しましょう。
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