大地震や洪水などの災害時には、普段なら簡単にできることが制限されてしまいます。情報を共有することもその一つです。
迅速で確実な情報伝達・情報共有が求められるのに、電話は不通、メールはなかなか電波が安定せず送れないということになると、現状の報告にも時間がかかってしまいます。
今回は災害時に使える情報共有の方法と、それぞれのメリット、デメリットをまとめます。
1. ホワイトボードでの情報共有
ホワイトボードはすぐに書いたり消したりできて刻一刻と変わる状況を書いて周知することができます。また、ポスター等と比べてホワイトボード自体も大きいため、目に留まりやすい、キャスター付きのものなら場所を移動することが容易、などのメリットがあります。
デメリットとしては、手書きしなければいけないため、たくさんの文字を書く必要があると手間がかかる、日数が経つと文字がかすれてきてしまうので、更新の必要のない情報を長期間掲示するのには向いていない、などのデメリットがあります。
2. 掲示物(ポスター)での情報共有
掲示物は変更がないような情報を長期間掲示して周知することができます。一度貼ってしまえば、ホワイトボードと違って文字が消えたりかすれたりしないため、長期間掲示することができます。また、ポスターが貼れるスペースがあればどこでも掲示可能なため、ホワイトボードの設置が困難な狭い場所、でこぼこした場所、高い場所などではホワイトボードよりポスターを掲示した方が良いでしょう。
デメリットとしては、掲載している情報に変更があった場合、新しいポスターを印刷して、古いポスターと張り替えるというコストや手間が発生してしまうことが挙げられます。そのため、たくさんの場所に掲示したい場合や、頻繁に更新される情報を共有するのにはあまり向いていません。
3. 配布物での情報共有
配布物は前述のホワイトボードやポスターと比べて非常に小さいですが、その小ささが最大のメリットとも言えます。ホワイトボードやポスターは持ち運びができませんが、配布物は持ち運びができるため掲示しているその場にいなくても見ることができます。
例えば、その情報が必要になる場所まで持って行ってその場で配布物を見て確認しながら作業する、ということは前述のホワイトボードやポスターではできません。
また、他に必要な人がいたら配布物を渡すことができるため、情報を必要としている人をホワイトボードやポスターの設置場所まで連れて行く必要もありません。
他にも、弊社では災害時の連絡網などを記載した防災カードを印刷し配布しています。災害はいつどこにいるときに起こるかわからないため、防災時にまず必要になる防災カードは小さく折りたたんで持ち運べる配布物として共有するのが向いているのです。
デメリットとしては、その小ささ故に紛失の危険があるということが挙げられます。また、情報が更新した場合には印刷、配布の手間がかかるだけでなく、更新日を記載するなどの工夫をしないと、どれが最新版かわからなくなってしまい、混乱する可能性があります。
4. デジタルサイネージでの情報共有
サイネージは目立たせたい情報を表示して共有するのに向いています。また、動画を再生できるため、写真や文字だと伝わりにくいようなことを動画で見せて直感的に理解してもらうこともできます。情報を更新する際も印刷などの手間がかからない他、クラウド型のサイネージを利用すれば、たくさん設置してあるサイネージに対して一斉に情報を配信・更新することができ、情報更新の手間を小さくすることができます。
また、少ないスペースでたくさんの情報を表示することができるため、耳が不自由な方に視覚情報でたくさんの情報を伝えることができたり、日本語と英語などの外国語を併記するなどの工夫をすることで日本語話者でない方にもきちんと情報を伝達できるなど、災害弱者の方達に対しても情報を発信することができます。
デメリットとしては、電力がないと表示ができないため、電気が不通となるような大規模災害の際には使えないことが挙げられます。
5. 電子ペーパーサイネージでの情報共有
前述のサイネージでは電力がない場合は使えないというデメリットがありましたが、そのような場合でも利用できるサイネージが存在します。
電子ペーパーサイネージと呼ばれるこのサイネージは、電力がなくなった場合でも、最後に表示していたものを表示し続けるという特徴があります。フルカラーでなくモノクロ表示であることや、通常のサイネージほど動きの多い動画を再生するのに向いていないなどの制約はありますが、電力を使わずに表示ができるのは非常に大きなメリットとなります。
これまで、電力やネットワークの問題から大規模災害の際にサイネージは使えないと言われていましたが、この電子ペーパーサイネージは電力やネットワークがなくても表示し続けることができるので、災害用サイネージとしてはぴったりです。
例えば、普段からハザードマップや非常時の避難経路、避難場所などを表示しておけば、実際に災害が起こって電力とネットワークが遮断されても電子ペーパーサイネージの表示は残るため、そのまま非常時の情報掲示として使うことができます。
まとめ
ここまで、有事の際に有効な5つの情報共有の方法を紹介しました。それぞれのメリット・デメリットをまとめてみましょう。
共有方法 | メリット | デメリット |
ホワイトボード |
・すぐに書いたり消したりできる ・大きくて目立つ ・移動させることが可能 |
・手書きのため手間がかかる ・長時間置いておくと文字がかすれる |
掲示物 |
・長期間掲示しても傷みにくい ・比較的どこでも掲示可能 |
・印刷、貼り替えの手間やコストがかかる |
配布物 |
・持ち運びができる ・人に渡すことができる |
・紛失の危険がある ・どれが最新版かわからなくなる危険性がある |
デジタル |
・動画を表示することができる ・輝度が明るく目立つ ・一斉に情報を更新することができる |
・電気が通ってないと使うことができない |
電子ペーパー |
・モノクロ表示しかできない ・通常のサイネージほどスムーズに動画を表示できない |
・電気が不通となってしまっても表示し続けることができる |
情報の種類によって、適切な情報共有の方法は様々ですが、いざというときにうまく情報連携ができないのが実情です。伝えたい相手に的確な情報を伝達できるように対策をとることが必要です。
そのため普段からそれぞれ必要な情報を分類し、適切な情報共有を選択することがスムーズな情報共有への一歩ですね。
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デジタルサイネージについては、こちらの記事もお読みください。
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