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POPなマーケティング ~その2~

[fa icon="calendar"] 2022/03/29 11:00:00 / by 沼澤 拓也

沼澤 拓也


POP広告

 

◆POPを活用した実証実験~その2~◆

 購買行動の起点となる“購買時点(POP)”に携わっている立場から人間の感情(心理)を考慮しない「合理的な購買」であることを説明しても消費者の反応(購買)に至らないことが増えている現状があります。

 現場(買場)での購買行動の一つ一つを分析し、「不合理な購買」に当てはまるのではないかという仮説を前回(その1)で設定してきました。
 そこで、“顧客は常に合理的である”をPOPコンテンツの視点で引き続き分析していきます。「不合理な購買」に至る指標である「変調」と「同調」とともに残りの3つのメソッドを現場(買場)で起きている実例をもとにみていきましょう。


 
 三つ目はPOP広告でも手法の一つとして活用する「アンカリング効果」です。最初にインプットされた情報や数値が「アンカー(錨)」となり、知らず知らずに消費者の心の働きをコントロールして購買決定に影響を与える効果のことです。
 コントロールというと大袈裟に聞こえますが、画像1の表現を見て頂くと多くの広告で活用している手法だとわります。「そうなんだ… 2割もいるんだ」と消費者は我が事のように感じます。特に睡眠に悩みのある消費者であれば、購買決定の確率を高めるような数値の「アンカー」となります。
 薬事法や景品表示法などコンプライアンスの重視は当然ながら、自社の「アンカー」となる情報や数値をPOP広告で伝達する機会は大切です。
 例えば「契約者の80%が〇〇を導入しています」「家を建てる人の平均年齢は○歳です」など、エビデンスが明確な情報はPOP広告の有効な素材です。「全社員がカラーコーディネーターの資格をもっています」などは、競合他社との差別化の「アンカー」となるでしょう。

<画像1>
2割

<メゾット3>

消費者はこれまでにないユニークな「アンカー(錨)」に反応します


 四つ目のメソッドは「フォーカス効果」です。
商品やサービスなどの対象についての同じ内容の情報であっても、言葉の選択やアナウンスの違いなどフォーカスの仕方によって、消費者は真逆の行動をとったり、異なる判断をしてしまいます。
 
 例えば、家電を購入する際、毎月の電気代も気になるものです。商品そのものの価格よりも、ランニングコストの方が出費と感じます。店員さんから「月々の電気代は3900円」と説明されると、購入を考えてしまう消費者は多いです。

 それでは次のケースではどのように感じますか?「1日の電気代は130円」(画像2)となると、購入のハードルは下がったのではないでしょうか。
 全く同じ内容を伝えているのに、言葉の選択で購買行動の意思決定が変化します。

 このように1日少額の支払いという提示の仕方は「フォーカス効果」を狙った企業の「不合理な購買行動(以下、不合理な購買)」への働きかけなのです。
 企業の仕事は顧客の合理性を変えようとすることの実例として上記の「フォーカス効果」の説得力が高いように感じます。合理性を理解し、かつ尊重しているからこそ、企業は言葉の選択やアナウンスを重要なこととして購買行動(意思決定)のための表現に注力しています。

 



<画像2>
IMG_0013.jpg(縮小)
 
 もう一つ、「フォーカス効果」の事例についてです。
 
 飲食店のランチにハンバーグ定食を提供することにしましょう。価格設定はサービスメニュー「800円」とレギュラーメニュー「1200円」の2点です(画像3)このケースの消費者の購買行動はお察しのとおり「800円」のメニューの注文数が多くなります。飲食店としては、売上を上げるためにどうにかして「1200円」メニューの注文数を増やしたいわけですが、このままでは変化はありません。

 レギュラーメニュー「1200円」の注文数を増やすために「フォーカス効果」を活用します。それはプレミアムメニュー「1600円」を新たに設定するのです(画像4)たったこれだけで「1200円」の注文数が増え、さらに「1600円」を注文する消費者が現れます。結果、これまでより「800円」の注文数は減り、全体の売上は高まるのです。

 

<画像3>

フォーカス効果1

 

<画像4>

フォーカス効果2

 
 「合理的な購買行動(以下、合理的な購買)」をするのであれば、「800円」の注文数が増えるはずです。しかし、メニュー数を3点にすることで「1200円」が高まるのは、アナウンスの違い(メニューの見せ方)によるものです。

 昔からある原理原則ですが、有効に活用している飲食店や企業はわずかです。購買行動に「合理的」や「不合理」が存在すること自体が理解しづらいことかもしれません。しかし、やむを得ないと言ってはいられない現実もあります。

<メソッド4>
フォーカスの「絞り方」しだいで、消費者は真逆の行動をとります


 2つのケーススタディ「アンカリング効果」「フォーカス効果」を開示しました。
消費者が合理的に考えるとすると、購買行動は異なる結果になるはずです。消費者は購買時点(買場)では冷静な判断を自ら行ったかのような結果は、不合理な判断になるケースがほとんどなのです。

 
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