前回に引き続き「太陽フレア」のお話をいたします。
小規模であれば綺麗なオーロラを見せてくれる大自然のショーですが、最大規模の太陽フレアは人類の危機を
招くほどの影響をもたらす可能性がある、恐ろしい自然現象となります。
■小規模な太陽フレアによる影響
太陽フレアによる被害の程度は、太陽フレアの規模で大きく変わります。これは大地震や水害と同じような考え方です。地球に影響をもたらす太陽フレアは、「Mクラス」から「Xクラス」のものであることを前回お話しましたが、自社の中核事業が「宇宙・方針・通信」などでない限り、太陽フレアによる事業影響はほとんど生じません。具体的には以下の通りです。
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小規模な停電や通信障害が生じる可能性がありますが、地震対策や水害対策の延長で対応することができますので、何かしらの災害をモデルとしたBCPがあれば、基本的には問題無いと言えます。一方、「Xクラス」の太陽フレアの中でも、数十年に一度レベルとなる、「X10.0」を超えるようなものが生じた場合は、一般企業にも影響する恐れがあります。
■大規模な太陽フレアによる影響
2022年、政府では100年に1回程度の頻度で発生する、最悪クラスの太陽フレアなどの宇宙天気現象による、最悪の被害想定をまとめて発表しています。想定される状況としては、「2週間」程度の期間にわたり、「X10クラスの」太陽フレアが連続して発生し、地球圏に深刻な電磁気影響をもたらすというケースです。
この場合の被害として、「①通信・放送・レーダー」「②衛星測位」「③衛星運用」「④航空運用」「⑤電力分野」の5つについて想定がなされています。
①通信・放送・レーダー
短波帯(HF)の通信がほぼ使えなくなり、2週間にわたり、船舶無線、航空無線、アマチュア無線および、短波放送も全国的に使用不可となる。
VHF帯・UHF帯の周波数を使用する無線ステムは、昼間の時間帯に使用できなくなる機関が2週間ほど続く。これを利用している、防災行政無線、消防無線、警察無線、タクシー無線、列車無線などの通信システムがダウンする。
またUHF帯の周波数を使用する携帯電話システムも、昼間の時間帯に接続できなくなる恐れがある。使用できる周波数が減るため、携帯電波網が輻輳状態となり、電話やモバイルのインターネットなどに影響が出る恐れがある。
②衛星測位
GNSS(GPS)衛星との通信ができなくなり、2週間にわたり位置情報精度の大幅な劣化または途絶が生じる。これを利用する自動車の自動運転、ドローンの制御を始め、ナビを用いる車両、船舶などの運航が難しくなる恐れがある。
③衛星運用
人工衛星の不具合に備えて機能を抑えた運用を行うことになるため、気象衛星・通信衛星・観測衛星などの利用にも制限がかかる。気象予報の精度低下、衛星通信の制限、リモートセンシングの利用停止などが想定される。
④航空運用
衛星測位精度の劣化や、被曝をさけるために取られる高緯度領域での飛行制限、また航空管制レーダーなどの使用停止などが2週間ほど継続する。そのため、航空機運休や空港閉鎖などが行われる恐れがある。
⑤電力分野
太陽フレアによる磁気圏じょう乱により、特別な対策を講じていない電力インフラに対する誤作動や火災が発生し、広域停電が同時多発的に生じる可能性がある。太陽フレアの活動が終息するまで復旧ができないため、2週間程度停電が継続し、社会システム全体がダウンする恐れもある。
■大規模な太陽フレアへの備えとBCP
このような被害が想定されていますが、1859年と2012年にこの被害をもたらす規模の太陽フレアが発生したことがありました。1859年はまだ電気・通信網が広く普及する前の時代でしたので影響は軽微、また2012年はたまたま地球が太陽フレアと逆方向に位置していたためニアミス回避となっています。
しかし前述の様な被害をもたらす太陽フレアは、実際に発生しており、今後もいつ生じるか分からない状況です。太陽の活動は11年おきに活発化・収束化を繰り返していますが、次の活動ピークが2024年後半~2025年と、まさに今関心を持つ必要がある状況なのです。
最悪クラスの太陽フレアが生じた場合は、最大で2週間程度の停電と、物流の停止が想定されます。人的・物理的な被害は生じませんが、この期間の停電・物流停止が生じると文字通り「何も出来ない」状況となり、むしろ個々人がどう生き延びるのかを検討するレベルになると言えます。
![136_2](https://blog.bitis.co.jp/hs-fs/hubfs/blog/BCP%E9%96%A2%E9%80%A3/%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0%E5%8E%9F%E7%A8%BF/%EF%BC%83135%EF%BC%8D136/136_2.png?width=500&height=308&name=136_2.png)
全従業員と家族の2週間の食料・生活物資を備蓄し、自前で発電機などを確保するということが究極の対策ですが、ここまで行える企業は小数と思われます。このレベルの被害は、可能性はあるがいつ生じるか分からない災害ですので、まずは地震や水害に帯するBCPを策定し、その延長で太陽フレアによる停電などに備える形が現実的と言えます。
社会が電気・通信・衛星サービスに依存するほど、太陽フレアの影響は大きくなります。そのため特に近年、太陽フレア対策に注目が集まっているのです。突発的な停電、またデータのバックアップなどを厳重にするところから、ぜひ検討してください。
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