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初動対応マニュアルの作成 第2話「初動対応マニュアルの項目リスト」

[fa icon="calendar"] 2018/08/13 12:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


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 6月18日に生じた「大阪府北部の地震」に続き、7月には西日本を中心とする全国的な大雨による「平成307月豪雨」災害が生じてしまいました。その後も記録的な高温による熱中症被害が多発するなど、改めて災害の多い国・多い時期であることを実感します。シリーズ「初動対応マニュアル」の2回目となる今回は、マニュアルを構成する項目リストの紹介をします。

1)緊急対応

 初動対応マニュアルの冒頭は、緊急対応の項目を並べます。大地震や突発的な大規模水害など、物理的な破壊を伴う災害が発生した直後に使用します。作成のポイントは、「マニュアルを順になぞることで、人命保護・二次災害の防止に役立つ」ようにすることで、混乱に陥る非常時においてもすぐ使えるよう、分かりやすい内容にします。

大項目

小項目

マニュアル(雛形)の内容

目次

・マニュアルの内容を俯瞰できる項目を冒頭に定める

・ケース別の行動フローをまとめておいてもよい

・夜間、屋外、雨中などでも閲覧できるように工夫する

緊急対応

出勤規則

・就業時間外の発災時における出勤基準、就業規則

・出社停止の連絡をする場合の連絡手段、連絡リスト

救助活動

・救助用品の内容、保管場所

・要救助者が生じやすい点検箇所のリスト

応急手当

・応急手当用品やAEDの内容、保管場所

・応急手当の方法や参照できるマニュアル、参考書籍

緊急搬送

・担架や搬送用具の内容、保管場所

・大規模災害時の拠点病院の場所、地図、移動ルート

避難計画

・拠点周辺の地図(ハザードマップ)、避難場所、移動ルート

・避難時に各自が持ち出すグッズの内容、保管場所

重要物持出

・避難時に持ち出すべき重要書類、物品のリスト

・搬出手続き、搬出手順

二次災害防止

・消火器具、浸水防止道具などの内容、保管場所

・各種用品の使い方やマニュアル

 

建物の安全確認

・建物からの一次避難基準、避難先、移動ルート

・建物の安全確認方法、保安/ビルメン会社との連絡方法

 

 2)情報収集

 緊急対応の次は、情報収集に関する項目です。緊急対応により目の前の危険を脱したら、さらに緊急対応を続けるにせよ、業務復旧を目指すにせよ、情報がなければ行動が取れません。情報を集める体制・環境を準備し、あらかじめ準備するテンプレートを用いて必要な情報を集めます。なお就業時間外に大規模な災害が発生した場合などは、緊急対応を飛ばし、遠隔による情報収集から着手する場合もあります。

大項目

小項目

マニュアル(雛形)の内容

情報収集

仮本部

正式な対策本部が立ち上がるまでの仮本部、情報収集がメイン

・設置基準、招集メンバー、連絡先リスト、連絡方法

・設置場所(物理拠点 or オンライン拠点)、準備物品リスト

 

通信確保

情報収集の手段と、連絡を取り合うための手段を確保

・ネット端末、テレビ、ラジオの内容と保管場所、利用方法

・衛星携帯電話、MCA無線、IP無線などの内容と保管場所、利用方法

・目視による周辺調査手順、地図、必要な道具の内容と保管場所

災害情報

以下のようなリストの雛形を準備し、災害そのものの状況を把握する。

・災害情報(地震の震源、堤防の決壊地、二次災害の状況)

・ライフライン情報(電気・ガス・水道・通信)

・交通情報(鉄道・バス・高速道路・幹線道路・周辺道路)

・流通情報(周辺商店の状況・食料品や日用品の入手について)

安否確認

・安否確認システムの利用方法、もしくは連絡網

・安否情報を書き込むためのリスト雛形

※災害の規模が軽微であれば、発災後いきなりこの項目へジャンプする

 

3)環境整備

 就業時間中に災害が発生し、情報収集の結果社内のライフライン停止が確認された場合、この環境整備を行います。社内に留まることができるような状況を整備することを目的に、停止したライフラインの代替処置を行って行きます。この時は、トイレの確保や、夜間の場合はライトの配付など、特に優先度の高い項目から対応できるように準備しておきます。

大項目

小項目

マニュアル(雛形)の内容

環境整備

トイレ確保

トイレ使えない場合は最優先で対応をする。数回分の携帯トイレを水/食料と合わせて事前配布しておいてもよい。

・非常用トイレの内容、保管場所

・トイレの設置/封鎖計画、トイレの設置手順

備蓄品管理

・水/食料/就寝道具などの内容、保管場所

・配付対象者、配付内容、配付手順

※備蓄品管理はこのマニュアルではなく、保守運用マニュアルで行う

宿泊対応

・全従業員の住所、連絡先、帰宅可能性に関する資料

・宿泊計画、フロア割り、宿泊者リストの雛形

※大規模災害時は社内待機を原則とした計画を立てる

帰宅対応

・方面別の地図(ハザードマップ)、帰宅者リストの雛形

・帰宅支援グッズの内容、保管場所、配付手順

 

 4)意思決定

 緊急対応による安全の確保、環境整備による最低限の業務環境の準備ができたら、情報収集結果に基づいた意思決定を行います。意思決定には社内外の被害状況が必要で、これを調べるためには「BCP本体」の作成とあわせて、中核事業と重要業務に必要な物品のリスト化が必要になります。そのため意思決定項目の作成については、他の項目と異なりBCP本体の作成と並行して作業をすることになります。

大項目

小項目

マニュアル(雛形)の内容

意思決定

対策本部

正式な対策本部設置の手順をまとめる

・設置基準、招集メンバー、連絡先リスト、連絡方法

・設置場所(物理拠点 or オンライン拠点)、準備物品リスト

※情報収集の結果、仮本部で捌ける規模であればこれはスキップ

社内状況

「BCP本体」でまとめた「重要業務に必要な経営資源」をリスト化し、最低現必要なリソースについて、被害情報を素早く把握できるようにする。

・建物:オフィス、店舗、工場の状況

・物 :設備、什器、機材の状況

・情報:基幹システム、業務システム、個人PCなどの状況

※人の状況については安否確認の項目で確認する

社外状況

上記同様、社外経営資源についても被害の状況を確認する

・電気、ガス、水道、その他インフラ(業務に必要なもの)

・仕入先、取引先、顧客などの状況

・外注先、パートナー、Webサービスなどの状況

・地域型事業の場合は顧客の被災状況を確認

BCP発動判断

被害情報を元に、平時の延長で業務再開を行うかBCPを発動して非常事態体制を取るかの判断を行う

・中核事業の優先順位、目標復旧時間、目標復旧水準

・BCP発動時の組織体系、連絡形態、平時体制へ戻す基準

 

外部告知

意思決定の結果を、速報として顧客・取引先へ伝達する

・連絡先のリスト、連絡手段

・自社サイトの更新手順、管理会社との連絡手段

 

 

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