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BCPの前提!企業の防災対策 第2話「命を守る防災」

[fa icon="calendar"] 2017/07/24 12:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也

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BCPの前提・初動対応として行う防災計画

 BCPで取り組む防災には2種類あります。ひとつは「中核事業」を構成する「経営資源」を守るために行う、「事業継続戦略」としての防災。もうひとつは事業の優先順位に関わりなく、全ての従業員の生命を守るために行う、「命を守る」防災です。全社に対して命を守る防災対策を行ってから、中核事業を守るための防災計画を立てるという順番が重要です。

 

①地震対策

 最初に実行するのは「地震対策」です。地域特性のある水害や土砂災害と異なり、大地震は日本中どこでも生じ、かつ常に不意打ちで最大規模の被害が生じる可能性のある災害です。しかし一方で、地震は「地面が揺れる」という自然現象に過ぎませんので、万全な準備を行えば大きな揺れに襲われても被害を生じさせずに済む災害でもあります。「事前対策の有無がそのまま従業員の生命に直結する」ため、まず優先的に対応をするのです。

 揺れから生命を守るためには、建物が倒壊しないように耐震性の確認を行うこと。揺れで什器や設備が転倒しないように固定を行うこと。ガラスの扉や窓、照明器具などが割れないように飛散防止をすること。これら、「揺れても被害が出ないようにする」ための準備を順番に実施してください。


②人命救助・消火対応

 次に地震対策の延長でもある「人命救助」と「消火」の準備を行います。大地震が発生すると多くの負傷者や要救助者が発生するため、軽傷への対応や救助活動などは自社で行う必要があります。また火災が発生した際には初期消火を行い、大規模な地震火災へ発展させないように初期対応することが極めて重要です。

 具体的には、万全な準備にもかかわらず建物が倒壊したり什器が転倒したりして従業員がケガをした際に対応する応急手当のセットやAEDを準備する。倉庫やエレベーターなどに閉じ込められた従業員を救助するための道具を準備する。重傷者を医療拠点へ運ぶための担架などを準備する。そして火災の初期消火を行うための設備や消化器を準備することが必要となります。


③避難対応

 地震対策では拠点の強化を行いましたが、拠点から素早く移動するための準備、避難対応も重要です。大地震の揺れは万全な準備をすれば無効化することができますが、大規模な水害、土砂災害、噴火、地震後の津波や火災など、物理的な破壊力を持った災害に襲われた場合、生命を守るためには避難をするしか方法がありません。

 拠点周辺のハザードマップから安全な避難場所とルートを定め、避難時に持ち出す防災グッズを事前に準備し、業務維持に必要な貴重品をリストアップしておきます。防災訓練では、車椅子や担架を安全に移動させられるか避難経路の検証を行います。避難が必要な災害は時間が立つほどに状況が悪化するため、できるだけ素早く行動できるような計画を立てておくことが重要です。


 

 ④防災備蓄

 最後は防災備蓄です。事業継続戦略としての防災備蓄は、災害後の復旧要員に対して提供する衣食住として準備しますが、命を守る防災の場合は自社の環境によって内容が変わります。防災備蓄を最も必要とするのは、拠点が都市部にあり従業員の多くが鉄道などの公共交通機関で通勤を行っているケースです。

 大都市を大地震が直撃すると、建物の倒壊や大規模な火災などの二次災害がいたるところで発生し、屋外は極めて危険な場所になります。さらに公共交通機関が停止するため多くの従業員がいわゆる帰宅難民となりますが、この状態で徒歩帰宅を行うと道中の二次災害に巻き込まれ生命を危険にさらすことになります。そのため防災備蓄を行い、大地震発生から3日間程度は従業員を帰宅させないための準備が、命を守る防災として重要になるのです。

 

ハードとソフト、両面で防災対策を実施する

上記①~④の対応は、事前に対応を行う物理的な防災対策と、実際に災害が発生した際に用いる緊急時対応マニュアルの作成、そして防災訓練の実施という3段階で準備を行い、ハードウェア・ソフトウェア両面の対応をします。

 

物理対策は時間と予算をかけて実施

物理的な防災対策には様々な項目がありますが、大は建物の建て替えや耐震補強工事、小は防災グッズの購入から非常用トイレの準備まで、数年単位で計画が必要な投資案件から、単年度で準備が完了するものがあります。全ての準備を短期で完了させるのではなく、優先順位と予算の確保を行った上で、スケジュールにしたがい少しずつ進めるようにしましょう。


非常時に必要な情報は紙のマニュアルとして準備する

 応急手当や救助用品の使用手順、ハザードマップや避難用の地図、非常時の医療機関のリストや緊急連絡先など、非常時に参照する必要があるマニュアルや関連資料については全て紙の状態で保管をします。これらは耐水用紙に印刷し、すぐ取り出せる場所で保管するようにしましょう。

 

定期的な防災訓練でソフトウェア面を保管

 物理的な防災対策やマニュアルの用意といったハード面の準備と併せて、防災訓練によるソフト面の対策も欠かせません。避難訓練や消火設備の利用訓練といったTHE・防災訓練だけでなく、家族との安否連絡、非常食の試食、外部の避難場所まで夜間の移動を行うなど、毎回テーマを決めて細かい点について少しずつスキルや経験値を積み重ねることが重要です。

訓練でできないことは、実際に災害が生じた状況下では絶対にできません。取り返しがつく段階で様々な状況を検討し、抜け漏れを少しずつ埋めていく様にしましょう。

 

Topics: BCP情報

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