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パンデミック複合災害で想定される困りごとと事前対策:前編

[fa icon="calendar"] 2020/05/13 15:27:56 / by 高荷 智也

高荷 智也


避難場所 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、記事執筆時点(2020/05/12)で世界の感染者が400万人・死亡者が30万人(※1)に迫ろうとしています。新規感染者の数が増加し続けている米国・ロシア・ブラジルなどの国々、ピークを迎えつつあるが増加が止まらない欧州諸国、一方日中韓などは新規感染者の増加が大きく減少するなど、国ごとの状況に大きな差が生じています。

1)米国JHUCOVID-19 Dashboardより

 日本では現在、緊急事態宣言の解除に向けた検討が進められています。しかし、経済活動の再開と共に発生する流行の第二波・第三波の可能性や、COVID-19の次の感染症パンデミックは将来的に必ず発生します。また日本は自然災害大国であり、毎年大地震や風水害の脅威にさらされています。パンデミックとその他の自然災害が同時に生じないとは、言い切れないのです。

そこで、COVID-19に限らず何かしらの感染症によるパンデミックが発生している状況下で、大地震や風水害に見舞われた場合を想定し、どのような対策を講じておけば被害を減らすことができるのかを考えて参ります。今回はまず前編、『パンデミック複合災害で想定される困りごと』です。

 

■パンデミック時に自然災害が発生した際に想定される課題

1)救助活動の遅れが生じる可能性

流行している感染症の感染力と致死率が高い場合、大地震や浸水害が発生した際、被災地に投入される救助リソースが平時よりも絞られたり、展開に時間がかかる可能性があります。一方、大地震による生き埋め被害者の救助などは、平時から行政によるものより、家族や近所の人が助ける割合が高いため、パンデミック発生の有無に関わりなく、救助用品などを準備しておくことが重要です。

 

2)医療機関のリソース圧迫の可能性

パンデミックのピーク時には医療機関のキャパシティが切迫し、大規模な災害が同時に生じた場合に割けるリソースに制約を受ける可能性があります。もとより大震災などが生じた場合は医療機関のキャパシティを上回る負傷者が発生することが想定されていますので、複合災害に発展した場合は、自力での応急手当の必要性が平時よりも高くなることが想定されます。応急手当用品などを準備して置くことが重要です。

 

3)避難場所・避難所における集団感染の可能性

津波・浸水・土砂災害などから命を守るために移動する「避難場所」、命が助かった後に生活できなくなった方が一時的に身を寄せる「避難所」、いずれも多くの施設は学校や公共施設の大部屋に大勢が収容される想定です。これはいわゆる「3密」環境となりやすく、局所的な感染爆発を引き起こす可能性が高くなります。

もちろん感染を恐れて避難をせず命を落とす、ということは避けなければなりませんので、命を守るための避難場所には必ず移動をする。しかし生活をするための避難所へはできるだけ行かずに済むよう、備蓄品などを準備して「在宅避難」できるようにするという対策が重要です。

 

4)被災地に対する支援・ボランティア不足の可能性

災害が収まった後の行政による支援活動、あるいは民間のボランティア活動が平時よりも制限される可能性があります。平時の災害時であれば積極的に行われる、自治体間での復旧協力や、企業からのまとまった支援などが行いづらくなったり、長距離移動を伴うボランティアの募集には高い可能性で制約がかかったりすることが想定されます。平常時よりも多めの備蓄品などを確保しておき、自助で対応するための準備が必要になります。

 

本記事の後編では、上記の課題に対して行っておくべき、事前対策の詳細について考えて参ります。
「パンデミック複合災害で想定される困りごとと事前対策:後編」

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