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土砂災害ハザードマップ2021(土砂災害その1)

[fa icon="calendar"] 2021/09/14 11:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


土砂災害  

 日本は山や谷が多く、土砂災害が生じやすい地形をしている国です。実際、2021年の熱海市土石流被害、2018年の北海道胆振東部地震による地すべり、2014年の広島市の土砂災害など、とりわけ土砂災害による被害が大きかった災害が多発している他、2018年の西日本豪雨、2019年の令和元年東日本台風などの記録的な水害でも、洪水・浸水とあわせて甚大な土砂災害が多発しています。
 土砂災害の多くは、「ハザードマップ」をみることで事前に危険を把握することができます。今回は「土砂災害ハザードマップ」について解説をします。

 
 今回もハザードマップは、国土交通省の「重ねるハザードマップ」を用いて解説をします。


■土砂災害ハザードマップを確認する
 国交省の「重ねるハザードマップ」にアクセスし、災害種別ボタンから「土砂災害」を選ぶと、地図上に次のような表示がなされます。こちらは、2021年7月に静岡県熱海市で発生した大規模な土石流被害の生じた、伊豆山地区周辺のハザードマップです。

図1:土砂災害ハザードマップの初期表示

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 山間地などは土砂災害リスクが高い場所になりますので、地図内ほとんどの土地に何かしらの色がつくような場合もあります。土砂災害には大きく分けると、がけ崩れ・土石流・地すべり・雪崩があり、このいずれを表示させるかはボタンでON/OFFが可能です。

図2:土砂災害ハザードマップのボタン切り替え

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 災害種別ボタンの枠を、下方向にスライドさせますと、選択肢が表示されます。初期状態では全てがONになっていますので、不要な項目をクリックすると非表示に切り替えることができます。では、個別にON/OFFしたものを見てみましょう。

図3:がけ崩れのみをONにした場合

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 こちらは、「土砂災害警戒区域(急傾斜地の崩壊)」と「土砂災害危険箇所(急傾斜地崩壊危険箇所)」だけをONにした場合の地図です。
土砂災害ハザードマップには、大きくわけると2種類の情報が掲載されています。ひとつは「土砂災害警戒区域(特別警戒区域)」で、こちらは法律に基づいて指定される地域を示したものです。
 もうひとつは「土砂災害危険箇所」で、こちらは前述の土砂災害警戒区域が法律で定められる以前に使われていた情報となり、現在は更新されなくなっています。
土砂災害ハザードマップにも、この新旧2種類の情報が掲載されていますので、いずれかの色がついている場合は、危険があると認識をした上での対策が必要になります。

図4:土石流のみをONにした場合

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 こちらは、「土砂災害警戒区域(土石流)」と「土砂災害危険箇所(土石流危険渓流)」だけをONにした場合の地図です。前述のがけ崩れと同じく、新旧2つの情報に分けられています。おおよそ、新しい土砂災害警戒区域は人家などを含む場所に指定され、古い土砂災害危険箇所は地図上で危険と思われる場所全てに色がつく、という使い分けになります。色の範囲内に建物がある場合だけでなく、アウトドアなどのレジャーで一時的に滞在する場合も、危険を認識してください。

図5:地すべりのみをONにした場合

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 さらにこちらは、「土砂災害警戒区域(地すべり)」と「土砂災害危険箇所(地すべり危険箇所)」をだけをONにした場合の地図です。
 2021年の3月末時点で、全国に存在する土砂災害警戒区域の指定箇所数は、がけ崩れが43.7万箇所、土石流が21.1万箇所、地すべりが1.5万箇所と、膨大な場所が土砂災害リスクのある土地として指定されています。

図6:雪崩のみをONにした場合

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 こちらは、「雪崩」のみをONにした場合の地図です。雪崩は新旧の区分がなく、「雪崩危険箇所」のみの表示となります。また静岡県熱海市は温暖でほとんど雪が降らない地域のため、こちらの地図は新潟県糸魚川市のものになります。
 この地点は1986年に、日本の雪崩対策を推進させるきっかけのひとつにもなっている、柵口雪崩災害の生じた場所となります。現在は物理的な雪崩対策が講じられていますが、ハザードマップ上では雪崩災害の危険ありとして色がつけられています。


■計画中の地点について 

図7:全国地図で土砂災害をONにした場合

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 ところで、重ねるハザードマップを広域表示にした状態で、土砂災害ボタンを押しますと、都道府県によっては青色がつく場合があります。これはその他の分類というわけではなく、地図上の仕様の問題で表示される色です。青色の地点を拡大しますと…


図8:指定予定の区域

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 このように、青い点線で囲まれた指定地域が表示されます。この点線は、土砂災害警戒区域・特別警戒区域として指定予定の場所を示す情報です。地図を大きく表示すると、この点線が強調されて、青の塗り潰しに見えた…という仕様になります。

 土砂災害ハザードマップを活用して、最寄りの危険箇所をぜひ把握してください。次回のコラムでは、土砂災害の避難について解説をいたします。

 

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