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防災のキホン:新しくなった「重ねるハザードマップ」で水害リスクを把握する(後編)

[fa icon="calendar"] 2023/06/21 11:00:00 / by 高荷 智也

高荷 智也


避難場所  

 前編のお話しでは、リニューアルされて使いやすくなった、国土交通省の「重ねるハザードマップ」の見所…もとい、使い方のポイントをご紹介しましたが、今回は実践編となります。

 

■ハザードマップの役割

水害ハザードマップを見る目的は、自宅や職場の周辺に「色」がついているかどうかを、ドキドキしながら眺めることではありません。水害発生時の「避難の方針」を定めることにあります。自治体から「避難指示」が発令されたさいに、自宅に留まるのか逃げるのか、これを事前に定めるためにハザードマップを確認します。

ハザードマップを確認した際に、自宅や職場の周辺に「色」がついていない場合は、原則として避難が不要な地域となります。一方、建物周辺に「色」がついていた場合は、影響度合いを確認します。例えば洪水ハザードマップで「最大3メートル」の浸水が想定される地域の場合、戸建てであれば二階まで浸水しますので避難が必要です。


一方マンションやビルの場合で、沈まない高さに自宅や会社がある場合は、その場にとどまる「在宅避難」を行うことになります。ただし建物が停電・断水する恐れがあるため、備蓄品などの準備が必要です。このように、ハザードマップを使用することで災害発生時の行動を事前に計画しておくことが重要です。


■高潮ハザードマップの場合

こちらは名古屋周辺の「高潮ハザードマップ」です。高潮は主に台風により海面が上昇することで生じる水害ですが、歴史上最大の被害を生んだ1959年の伊勢湾台風は、この高潮により大きな被害が生じました。

例えば名古屋駅周辺の「重ねるハザードマップ」を見ますと、高潮により最大3メートルの浸水が想定されています。自宅や職場が2階以下であれば避難指示で逃げる、それ以上であれば在宅避難という判断になります。

122_01高潮


■洪水ハザードマップの場合

こちらは東京駅周辺の「洪水ハザードマップ」です。日本の都市の多くは河川に近い平野に位置するため、主要都市の大半は洪水で浸水する地域に市街地が広がっています。

例えば東京駅の場合は、最大0.5メートルの浸水が想定されているため、自宅や職場が地下または地上階でにある場合は避難、2階以上の高さであればその場に留まるという判断になります。

122_02洪水




■洪水ハザードマップ(家屋倒壊等氾濫想定区域)について

洪水ハザードマップには「家屋倒壊等氾濫想定区域」というオプション表示があります。画面左上の情報欄にある「全ての情報から選択」→「災害リスク情報」→「洪水浸水想定区域」を選択すると、「家屋倒壊等氾濫想定区域」が表示されます。

こちらは広島駅周辺の洪水ハザードマップに、家屋倒壊等氾濫想定区域のみを表示させたものです。赤い「○○○」で塗りつぶされている地域は「氾濫流」を示し、洪水による水の勢いで木造家屋が破壊される恐れのあるエリアです。さらに河川沿いに赤く塗りつぶされている地域は「河岸浸食」を示し、洪水で地面が削られ建物ごと崩落する恐れのあるエリアを示します。

氾濫流は木造住宅を破壊する恐れがあるため、戸建てに住んでいる場合などは避難指示が発令されたタイミングで避難となります。河岸浸食は土地そのものが削られるため、地盤に対する特別な対策をしていない建物は、避難指示のタイミングで避難となります。いずれも発生してからでは間に合わないため、早目の行動が必要です。

122_03_家屋倒壊等氾濫想定区域




■土砂災害ハザードマップの場合

最後にこちらは、横浜駅周辺の「土砂災害ハザードマップ」です。大地震や大雨により生じる「がけ崩れ・地すべり・土石流」で被害の想定される地域を示します。
黄色の範囲は「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」で、土砂災害により生命に危険が生じるエリアです。赤色の範囲は「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」で、土砂災害により生命および建築物にも危険が生じるエリアを示します。

駅そのものは「色」の無いエリアであるため、避難などは不要ですが、エリア内に建物がある場合は、土砂災害に関する避難指示が発令されたタイミングで逃げる必要があります。避難が難しい場合は、建物の2階以上へ移動したり、ガケなどから離れた部屋に待機するなど、建物内で最も安全な場所へ移動するなどの対応を取ってください。

122_04_土砂災害


予知のできない地震と異なり、水害は天気予報とハザードマップをチェックすれば、災害発生前に逃げることができます。スマホで簡単に閲覧できる「重ねるハザードマップ」をぜひご確認ください。


■サイネージを利用した災害情報の配信

ビーティスのサイネージ型クラウド配信システム『PICLES』では、Lアラートやエリアメールなど発報された際に、災害情報をデジタルサイネージに表示することが可能です。
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