コワーキングスペースへのニーズは高まっています。運営を効率化するポイントや開業費用、開業までの実際の流れについてまとめました。これからコワーキングスペースの運営を目指す方、また、すでに運営中の方はぜひご覧ください。
【目次】
コワーキングスペースの経営は儲かる?
コワーキングスペースとは、共に(Co)働く(Working)場所(Space)のことです。デスクや椅子、Wi-Fiなどのインターネット環境がそろっており、好きな場所で仕事や勉強をします。
基本的にはオープンスペースで、通常のオフィスのように自分の場所にだけパソコンや資料などの私物を置いて作業をします。個室があるタイプのものはコワーキングスペースではなく、シェアオフィスやレンタルオフィスと呼ばれることが多いです。
ただし、厳密な区分けがあるわけではないため、個室のあるコワーキングスペースや、オープンスペースで作業をするシェアオフィスなどもあります。
コワーキングスペースは、新型コロナウイルスの感染拡大とともに増えてきました。2019年6月には全国に799施設のみでしたが、2021年12月には2,042施設と、約2.5倍もの増加を見せています。その後は増加率は落ち着いたものの、2022年6月は2,087施設、12月は2,129施設と右肩上がりに増えています。
とりわけコワーキングスペースが集中しているのは東京都や大阪府、神奈川県などの都市部です。たとえば東京都では2022年12月の時点でコワーキングスペースは641箇所あり、全国の約3割を占めています。
参考記事:一般社団法人 大都市政策研究機構|調査研究レポート(第6回)「日本のコワーキングスペースの拡大」(2022年12月版)
空きスペースを活用できる
空きスペースがあれば、コワーキングスペースとして活用できます。椅子とデスク、インターネット環境などのみ準備すれば始められるため、今までお店などを運営したことがない方でも気軽に手がけられるでしょう。
建物を持っている方なら、空きスペースの有効活用にもなります。建物取得費用がかからない分、コストを抑えて開業できるのもメリットです。
コワーキングスペースのニーズは高まっている
コワーキングスペースへのニーズは高まっています。たとえば次のような方は、コワーキングスペースを利用するかもしれません。
●テレワークをしたいが、自宅では集中できない方
●自宅のインターネット環境に問題がある方(通信速度が遅いなど)
●開業したいが事務所を設ける費用を節約したい方
また、普段は自宅でテレワークをしている方も、気分転換に不定期で利用するかもしれません。多様な働き方を求める風潮が高まるとともに、コワーキングスペースのニーズも高まっているのです。
維持費を抑えやすい
開業しても維持費が高く、なかなか利益が出ないという業種もあります。しかし、コワーキングスペースなら、維持費はWi-Fiの通信費と家賃程度です。スタッフを雇用する場合も、1人程度で問題ありません。
さらに人件費の節約を目指すなら、デジタルサイネージの導入も検討できます。デジタルサイネージでお知らせを表示したり、ユーザーの質問に答えたりできるようにしておけば、スタッフを配置する必要がなくなります。
デジタルサイネージの活用方法や種類については、次の記事をご覧ください。
コアワーキングスペース開業の流れ
コワーキングスペースは次の手順で開業します。
- 事業計画を立てる
- 資金を調達する
- 物件を選定する
- 内装工事・備品調達など
- 集客を開始する
各ステップを流れに沿って解説します。
1.事業計画を立てる
まずは事業計画を立てましょう。すでにコワーキングスペースに適した建物や部屋を所有している場合も、事業計画を立てて利益が上がるか調べておかなくては、内装や備品調達にかかる費用を回収できない可能性があります。
また、事業計画を立てるときには、差別化ポイントを明確にすることが大切です。紹介したように、コワーキングスペースは増加しています。まだまだ過剰に供給されているとは言い難い状況ですが、近隣に競合施設があるときは、特徴を打ち出すことでお客さまに選んでもらいやすくなります。
2.資金を調達する
コワーキングスペースは比較的コストを抑えて開業できる施設ですが、それでも物件取得費や内装費、備品費などはかかります。資金が不足するときは、金融機関から融資を受けることも検討してください。
今までに事業実績がない場合、民間の金融機関から融資を受けるのは難しいと考えられます。審査通過が厳しそうなときは、日本政策金融公庫の開業資金なども検討してみましょう。開業専用の融資商品のため、事業実績がない方でも比較的利用しやすくなっています。
ただし、事業計画については厳しくチェックされるため、丁寧かつ説得力のあるものに仕上げることが必要です。地域の商工会や商工会議所では開業相談を受け付けているため、相談してから融資審査に臨むのもオススメです。
3.物件を選択する
賃貸でコワーキングスペースを開業する場合は、物件を選定します。広さや立地、家賃などを総合的に考慮して判断しましょう。
たとえば十分な広さのある物件でも、駅から徒歩20分以上かかるなどのアクセスしにくい立地なら、駐車場や駐輪場なども備えている必要があります。ユーザーの気持ちになって、通いたい場所かどうかチェックしてみてください。
4.内装工事・備品調達など
物件選定後、内装工事をおこないます。おしゃれで居心地がよいものが好ましいですが、あまり費用をかけすぎると利益が上がりにくくなってしまいます。予算にもよりますが、快適さを重視して、装飾はシンプルなほうがよいかもしれません。
ただし、インターネット環境が整っていることと十分数のコンセントがあることは、コワーキングスペースの必要条件です。インターネット通信が安定しやすい光回線を導入し、電圧も考慮しつつ十分数のコンセントを取り付けておきましょう。
また、椅子やデスクなどの備品も調達します。ソフトドリンクなどの提供サービスも実施する場合は、グラスなども必要になることがあります。
5.集客を開始する
カフェやベーカリーのような飲食を取り扱う店舗とは異なり、コワーキングスペースは口コミで人気が広がることはあまりありません。積極的に宣伝活動をおこない、集客することが必要です。
コワーキングスペースを利用する方はインターネットで情報を検索すると考えられるため、Web公告やホームページ・SNSの開設なども検討できます。また、地域のカフェなどにチラシをおいてもらうのもオススメです。
コアワーキングスペースの開業費用
コワーキングスペースの開業費用は、建物やコワーキングスペースとして活用できるスペースを有しているかによって異なります。
建物を借りる場合なら、内装工事費用込みで500万円以上は必要です。都心部の駅近物件であれば、賃貸にかかる初期費用がかさむ分、さらに高額になることもあります。
すでに建物やスペースがある場合なら、内装工事と設備費用などで200万円以上は見積もっておきましょう。内装工事がほとんど必要ない場合は、光回線の導入や椅子・デスクの購入費程度のため、100万円台で開業できることがあります。
コアワーキングスペース運営効率化のポイント
コワーキングスペースにかかる費用は、開業費用だけではありません。毎月維持費がかかるため、運営を効率化することが収益事業に成長させるために必要です。
コワーキングスペース運営効率化のためにも、次のポイントに注目してみましょう。
●デジタルサイネージを導入する
●地域の補助金事業を活用する
●入居プランを導入する
それぞれのポイントを説明します。
デジタルサイネージを導入する
デジタルサイネージを導入すれば、利用者に必要な情報(料金プランや飲食のサービス、事業に役立つ情報など)を提供できるため、スタッフの人件費を削減できます。デジタルサイネージの導入費用はかかりますが、人件費は毎月コンスタントにかかる費用のため、長期的に見れば大きなコスト削減につながるでしょう。
デジタルサイネージのなかには、広告配信にも対応し、広告収入が得られるものもあります。営業効率化のためにも、ぜひ検討してください。
デジタルサイネージでのコンテンツ配信に不安がある方には、クラウド型サイネージ配信システム「PICLES」がオススメです。簡単に扱えるインターフェースと多数のサイネージを一括管理できる機能性を併せ持ち、手間のかかりがちなサイネージ管理が簡単になります。お気軽にお問い合わせください。
地域の補助金事業を活用する
地域によっては、コワーキングスペースの運営や開業に補助金を提供していることもあります。開業する場所の自治体に問い合わせてみましょう。
なお、補助金申請のタイミングは、補助金事業によって異なります。開業前に申請が必要な事業もあるため、タイミングを逃さないためにも開業前に自治体に問い合わせてください。また、商工会や商工会議所に相談することでも、補助金事業の情報を得られることがあります。
入居プランを導入する
利用者数にばらつきがあり、収益が安定しないときは、入居プランも導入してみてはいかがでしょうか。入居プランとは月会費制度のことで、ユーザーは月に定額の料金を支払うことで、好きなときにコワーキングスペースを利用できるようになります。口座振替などで入金する仕組みにすれば、回収漏れも減り、より収益が安定します。
収益が安定することで、事業拡大や改装などの見通しが立てやすくなることもメリットです。また、長期利用を前提として契約するため、ユーザー間のトラブルが少ない点も入居プランならではのメリットといえます。
ただし、入居プランだけに限定してしまうと、新規ユーザーを取り込めなくなってしまいます。「今日だけ使いたい」「週1回程度利用したい」といったユーザーを取りこぼすことにもなるため、利用のたびに料金を支払うドロップインプランとも併用しましょう。
コアワーキングスペースの経営を成功させるコツ
コワーキングスペースの経営を成功するためには、営業効率化に取り組むのはもちろんのこと、利益を得やすい事業体制・空間に仕上げることが必要です。経営成功のコツとしては、次の要素が挙げられます。
- ニーズの高い立地を選ぶ
- 設備を充実させる
- サービスを充実させる
- 個人経営も検討する
それぞれのコツについて見ていきましょう。
ニーズの高い立地を選ぶ
コワーキングスペースの経営は、立地にかかっているといっても過言ではありません。とりわけドロップインプランだけで経営するときは、立ち寄りやすい立地であることが成功を左右します。
たとえば駅近のわかりやすい場所なら、「空いた時間に少しパソコンで作業をしたい」といった流動的なユーザーも取り込みやすくなります。また、大規模な大学や企業などがあるエリアなら、気分を変えて職場・学校以外で作業をしたい方も取り込めるでしょう。
少々不便な場所でも、駐車スペースなどを確保すれば集客しやすくなります。入居プランをメインにする場合なら、立地が不便でも固定客がつくため、安定した利益を確保できるでしょう。住宅地のなかや大規模マンションのそばなども、テレワークの方には通いやすいため、入居プランにオススメの立地です。
設備を充実させる
内装工事や設備・備品に費用をかけすぎると、収益が上がるまでに時間がかかり、場合によっては回収できない可能性もあります。しかし、必要な設備は過不足なく整えるようにしてください。たとえば、デスクや椅子があっても、仕事はできません。Wi-Fiや有線でインターネットを利用できる環境も整えておく必要があります。
また、リクライニングチェアなどを用意するのもよいかもしれません。連続して長時間作業をしていると、身体がこわばり、作業性が低下することがあります。コワーキングスペースの空間に余裕があるときは、ソファやリクライニングチェアなどもいくつか置いて、ユーザーがリラックスできるようにしておきましょう。
ほかにも、壁時計や日よけのカーテン・ブラインドなども、ユーザーが快適に過ごすためには必要になります。高価な設備を導入する必要はありませんが、ユーザー目線で使いやすさや過ごしやすさをチェックして、コワーキングスペースの内装・設備を仕上げてください。
サービスを充実させる
サービスの充実を図るのも、コワーキングスペース成功のポイントです。たとえば無料ドリンクサービスなどがあれば、ユーザーにとって魅力となり、集客に役立つかもしれません。また、有料のドリンクサービスも検討できます。味にこだわったドリンクなどを提供すれば、客単価アップにもつながります。
ほかにも、パソコンやタブレットのレンタルサービスもオススメです。たとえば、パソコンなどのインターネットデバイスのレンタルサービスがあれば、ノートパソコンを持っていない方も気軽にコワーキングスペースを活用できます。新規顧客の開拓にもつながるでしょう。
また、ユーザー目線で料金プランを充実させることも検討してみましょう。入居プランとドロップインプランの両方を用意するだけでなく、1か月あたりの料金を抑えた長期入居プランや、時間単位の料金・1日単位の料金などもあるとよいかもしれません。
デジタルサイネージがあれば、サービス内容や料金プランも利用者に伝えやすくなります。クラウド型サイネージ配信システムを利用すれば、サービスや料金プランの変更にも簡単な作業で対応可能です。期間限定のお知らせにも活用でき、ユーザーの利便性向上にも役立ちます。
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個人経営も検討する
開業時の費用面の負担を抑えるなら、フランチャイズ型を検討してみましょう。少ない資金で開業でき、また、経営のノウハウも教えてもらえるため、起業へのハードルが低くなります。
しかし、毎月ロイヤリティを支払うことにもなるため、長い目で見れば個人経営のほうが利益を得やすくなります。ただし、集客に力を入れることが前提です。フランチャイズは名前が知られているため、集客力が魅力となりますが、個人経営では名前を周知させることから始めなくてはいけません。
まとめ
起業や不動産の有効活用を考えている方は、コワーキングスペースの運営も検討してみてはいかがでしょうか。準備する設備や備品も少なく、比較的少ない予算で始められます。また、コワーキングスペースのニーズは高まっているため、立地や集客に注意をすれば、収益性の高い事業に成長させることが可能です。
コワーキングスペースの運営を効率化するためにも、ぜひデジタルサイネージの導入をご検討ください。クラウド型サイネージ配信システムを活用すれば、ユーザーの利便性を向上させるだけでなく、人件費削減も実現できます。
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