ユニバーサルデザインの看板は誰もが理解できる案内表示で、公共施設などで導入するところも増えています。特にデジタルサイネージの看板は、見やすく印象に残りやすいことがメリットです。
本記事ではユニバーサルデザインの概要や種類、看板の事例などを紹介します。
【目次】
ユニバーサルデザインとは
ユニバーサルデザインは国籍や年齢・性別などの違いに関わらず、すべての人が利用できることを目指すデザインです。デザインは目に見えるものだけでなく、構造やシステムなども含む広い概念で、誰もが利用しやすく住みやすい社会づくりを目指しています。
ここでは、ユニバーサルデザインの7つの原則とバリアフリーデザインとの違いをみていきましょう。
ユニバーサルデザインの原則
ユニバーサルデザインには、7つの原則があります。建築家や工業デザイナー、技術者などがまとめたもので、製品や使用する環境、コミュニケーションなどを含めてデザインがかかわる幅広い分野での方向性を示しています。
- 誰にでも厚平に利用できること
- 使う上で自由度が高いこと
- 使い方が簡単ですぐわかること
- 必要な情報がすぐ理解できること
- うっかりミスや危険につながらないデザインがあること
- 無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること
- アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること
7つの原則は、すべてを守らなければいけないというわけではありません。あくまで理想のデザインを目指すための指針です。
また、実際のデザインでは、経済性や技術的・文化的な要件、男女の違いや環境への影響など、使いやすさ以外のことにも配慮が必要になります。
参考:国立研究開発法人 建築研究所「ユニバーサルデザイン7原則」
バリアフリーデザインとの違い
ユニバーサルデザインと似たものにバリアフリーがあります。利用しやすいことを目指す点では、両者は共通しているといえるでしょう。しかし、対象とする範囲が異なります。
バリアフリーは高齢者や障がい者などを対象にして、社会生活をする上で障壁となるものを取り除くことを目的としたものです。
これに対し、ユニバーサルデザインは高齢者や障がい者を含めたすべての人を対象とします。最初から誰もが利用しやすく、暮らしやすい社会となることを目指す考え方です。
ユニバーサルデザインの種類
ユニバーサルデザインは、誰もが使いやすい「モノ」のデザインと、誰もが同じように受け取れる「情報」のデザインという2種類があります。それぞれの内容を詳しくみてみましょう。
誰もが使いやすい「モノ」のデザイン
「モノ」のデザインとは、建物や製品などが使いやすくデザインされていることです。使い方がわかるイラストが記載されているなど、誰もが簡単に使えるよう設計され、使いやすい場所に設置されています。
自動ドアや自動販売機がその一例です。自動ドアは、ドアを開けたりボタンを押したりという動作が必要なく、すべての人に利用しやすさを提供しています。自動販売機も、どこにでもあって誰でも好きなときに購入できるという考え方が反映されています。
情報や注意を示すために単純化された絵文字「ピクトグラム」も「モノ」のデザインのひとつです。交通機関や商業施設などで使われ、日本語がわからない人でも一目で理解できます。
誰もが同じように受け取れる「情報」のデザイン
インターネットが普及した時代には、誰でも同じように情報を受け取れるよう、ユニバーサルデザインの工夫が行われています。サイト上で、誰でもアクセスしやすく必要な情報を見つけやすいデザインにする取り組みもそのひとつです。
紙媒体では、フォントや色、レイアウトなどを工夫し、誰もが同じように情報を受け取るようにしたデザインがあります。
駅や施設などで活躍するのが、ユニバーサルデザインの看板です。求められる情報を適切な場所に配置し、多言語表記にするなど、誰もがわかりやすい案内表示がされています。
ユニバーサルデザインが必要な理由
ユニバーサルデザインが求められる理由は、主に以下の3つです。
- グローバル化の進展
- 少子高齢化
- 障がい者が暮らしやすい街づくり
近年は海外からの観光客が増え、わかりやすい案内表示の必要性が高まっています。
また、高齢化社会にあっては、多くの高齢者が自立できる社会づくりも必要です。障がい者が暮らしやすい街づくりは、いつの時代でも求められています。
ユニバーサルデザインが必要な理由を3つ解説します。
グローバル化の進展
ユニバーサルデザインが必要とされる理由のひとつに、グローバル化の進展があげられます。日本で暮らす外国人が増えている状況があり、コロナ禍で一時は減少していた海外からの観光客も復活・急増しています。
日本語がわからない外国人も不自由がないよう、案内表示やアナウンスなどが多言語・イラスト表記されるようになってきています。
少子高齢化
日本では少子高齢化が進んでいます。厚生労働省が国勢調査(2020年調査)をもとに算出した将来人口推計では、65歳以上の人口割合は2020年の28.6%から一貫して上昇し、2070年には38.7%へと増加すると予測されています。
前回推計と比べて2070年の出生率は1.44から1.36%に低下する一方、平均寿命は延び、外国人の入国超過数は増加する見通しです。
人口に占める高齢者の割合が増え、現役世代の人口が減る中で、高齢者の自立が求められています。高齢者が自立していくためには、社会全体にユニバーサルデザインを広めていくことが急務とされています。
障がい者が暮らしやすい街づくり
日本は国際条約の「障害者の権利に関する条約」を締結しており、障がい者の権利保障を実現するため、国をあげて積極的な取り組みが行われています。
障がい者の人権や基本的自由、尊厳の尊重を促進し、暮らしやすい街づくりを行うため、ユニバーサルデザインが果たす役割は大きいといえるでしょう。より積極的に普及に努めることが要請されています。
ユニバーサルデザインで作られた看板の事例
さまざまな理由で注目されるユニバーサルデザインは、各自治体の施設でも積極的に採用されています。代表的な事例として、ピクトグラムなどを使った施設の案内表示や、公園のマナー規制などがあげられます。
ユニバーサルデザインで作られた看板の事例をみてみましょう。
施設の案内
各自治体の公園など公共施設・道路の案内表示には、ユニバーサルデザインが広く取り入れたれています。文字の大きさ・色・ピクトグラムなどを工夫し、一目で求める情報がわかるよう配慮された看板が増えている状況です。
観光地の案内表示や展示物の説明なども、ピクトグラムや多言語の表記により誰もがわかる工夫がされています。
案内板は外国語の併記だけでなく、音声案内やLEDパネルを併用し、視覚と聴覚・触覚への情報伝達手段を備えてよりわかりやすい工夫がされたものも増えてきました。
公園のマナー規則
ユニバーサルデザインは公園のマナー規制にも活用されています。オートバイ進入禁止などの禁止事項や公園のルールをピクトグラムで表示することで、公園を利用するマナーを誰もが一目で理解できます。
さまざまな人が利用する公園のマナー規制がユニバーサルデザインになることで、すべての人が気持ちよく使える空間ができるでしょう。
ユニバーサルデザインのデジタルサイネージもおすすめ
ユニバーサルデザインは、デジタルサイネージにすることでさらに効果を高めます。情報をデジタルサイネージで発信することにより視認性が高くなり、見やすくなるのがメリットです。文字やピクトグラムと一緒に音声を流すことで、情報が伝わりやすくなります。
デジタルサイネージの概要や、ユニバーサルデザインで活用した事例をみていきましょう。
デジタルサイネージとは
デジタルサイネージとは、デジタル技術によりディスプレイに情報を映し出す媒体のことです。商業施設交通機関など、さまざまな場所に設置され、広告動画やリアルタイムの情報発信などで活用されています。駅などで動画のデジタルサイネージを見かけるという人も多いでしょう。
デジタルサイネージは時間帯や場所に応じて表示内容の書き換えができ、タッチパネル操作などで幅広い情報の発信ができるなど、ユニバーサルデザインの目的をより実現できる機能が備わっています。
ユニバーサルデザインを広めるには、デジタルサイネージの活用が役立つといえるでしょう。また、デジタルサイネージを導入する際も、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れることがより効果を高めます。
デジタルサイネージについては、以下の記事で詳しく説明しています。
デジタルサイネージの魅力
デジタルサイネージは、従来の広告メディアよりも大きな可能性を秘めています。
いつ、どこでも誰にでも情報を届けられると同時に、ターゲットを絞ってピンポイントで情報を提供することも可能です。
ここでは、デジタルサイネージの魅力を3つ紹介します。
多様な情報を発信できる
デジタルサイネージは、街頭の大型ビジョンや駅、商業施設など、さまざまな場所に設置して電子映像の情報を配信できます。
リアルタイムで情報を発信し、看板の閲覧者にクーポンを配布することも可能です。
広告での利用だけでなく、店舗やイベント会場などで案内やマップを表示して利便性を高め、顧客満足度を高める役割もします。
ターゲットを絞って情報を提供できる
デジタルサイネージは、従来のような不特定多数に同じ内容をアピールするだけでなく、特定のターゲットを絞った情報の提供が可能です。
海外の観光客をターゲットにしたデジタルサイネージの案内表示や広告は、すでに数多く展開されています。また、通勤の時間帯やランチタイムの行動を予測し、広告内容を切り替えるという活用も行われています。
動画を配信できる
従来の看板では印刷物による媒体が主流であったのに対し、デジタルサイネージは動画や音楽などの使用が可能です。動画は視認性を高め、訴求力を発揮します。より多くの表現方法で情報を配信でき、視覚だけでなく聴覚にも訴える効果的な広告を展開できます。
ディスプレイの技術は日々進化しており、高画質の動画表示でより注目を集めやすくなるでしょう。
デジタルサイネージの活用については、以下の記事が参考になります。
参考記事:介護施設でのデジタルサイネージの選び方4つのポイントをご紹介!
参考記事:介護施設での活用事例
ユニバーサルデザインによるデジタルサイネージの事例
デジタルサイネージはユニバーサルデザインを取り入れることで、より有効活用ができます。
観光客の満足度向上のため、デジタルサイネージを導入した関西方面にある地方自治体がその一例です。
自治体では、観光スポットや駅、空港の5ヵ所に観光情報を提供するデジタルサイネージを設置し、2016年より運用を開始しています。
デジタルサイネージは誰もが簡単に使えるユニバーサルデザインを採用し、6言語に対応して利便性を高めました。QRコードを活用したスマートフォンへの情報表示など、先進的な機能を提供しているのが特徴です。観光客の満足度は向上し、滞在型観光の促進にもつながっているということです。
参考記事:観光DXとは?意味やメリット・導入時の課題・活用事例をご紹介
公園のマナー規則
ユニバーサルデザインの看板をデジタルサイネージで導入したいという方におすすめなのが、コンテンツ配信システム:PICLES(ピクルス)です。デジタルサイネージへのコンテンツ配信を手軽に実現できるクラウド型サイネージ配信システムで、動画や音声・ドキュメントなど、幅広いコンテンツを扱えます。
コンテンツ制作の自由度が高く、目を惹くコンテンツを作成できるのも魅力です。
遠隔地にあるデジタルサイネージも、ブラウザで一括管理できます。情報の更新やメンテナンスの運用が容易になり、複数のデジタルサイネージの運用管理も可能です。
まとめ
ユニバーサルデザインの看板は、グローバル化や高齢化が進むこれからの日本で、さらに必要とされることが予想されます。ユニバーサルデザインの看板をより利用しやすくするのがデジタルサイネージです。デジタルによる動画や音声の配信で、より利便性を高めます。
海外からの観光客向けにユニバーサルデザインの看板を作る場合にも、デジタルサイネージは多いに役立つでしょう。
==============================
動画コンテンツを活用して、社内のコミュニケーションの活性化に!